さっとどこかで見かけて
調べて
面白そうだなと思って
買った本。
読了📖
とっても面白かったです。そしてパワーが湧いてきた✨
著者個人の編み物が生きる力になっている話だけでなく、長い人類の歴史の中で
手仕事、編み物がどんな風に人々を生かし、元気づけ、社会的に作用して働きかけてきたのか
様々な時代、国、立場の中で
また、編み物が置かれてきた立場についても。
織物に比べて編み物は歴史の著述の中で長い間、書かれなかったらしい
それはその行為自体が歴史に必要だと大切だとみなされず、労働者の日常の仕事だったから
暮らしの中だったから
これだけでも、歴史Historyがどれほどhis story(男性の歴史)だったのかがわかる
経済や社会をどうやって作っていったのか、その戦いの記録に私はあまり興味がない
それよりもHerstory、暮らしの記録、生きる歴史に興味がある。
それがこの本にあった。
第1次世界大戦さなか、イギリス軍の兵士が塹壕で寒さに震えていると聞いた本国の女性たちが、身の回りにあるセーターやマフラーを解いて、靴下やバラクラバ、下着を編んだこと
グレーなモノトーンな世界に、暮らしの色の組み合わせが入り、それが戦意を削ぐとそのうちに軍から毛糸や色の指定が入ったこと😣
大切な情報を網目に隠して運んだ人たち、編み物をする行為自体が社会的に敵意がないと見做されることを利用した政治利用
様々な文化の表れの中で、自分たちでそれを形にして行った若者たちの話
また、数学や物理の世界で、そして医学や心理学、治療の世界で認められる編み物🧶
毛糸を編むように、ジェンダーや社会、生きるという力を健やかに作り上げていく様子が文章で記されていた。
興味深く、また胸の空く思いだ
私が感銘した文章に
「本当の社会改革は、女性たちが常にやってきた仕事が、文化全体から同じように評価される時にこそやってくるのだ」
という文章がある。
そう、そうなんです。なんだかずっとモヤモヤしていた。
それがスッキリした。
男女共同参画って、ずっと女性が男性と同じレベルで仕事をしていくって言う方向と見方だったと思う。
私はそればかりが平等だとずっと思えなかった
誰もが、第2次世界大戦後ずっとそうであるような日本人男性と同じように働くことが、果たして社会のためになるのか?
朝から夜中まで働く、危険な仕事をする、勝つためだけ、稼ぐためだけに働く
それを万人がすることが果たして良いことなのか?
私はそれを選ばなかった。暮らしを育む、命を育む、今を生きること、そのことをする人が家庭に社会にいることを重んじた。
それが歴史に刻まれず、そして価値のあるものと認められなかったことはわざわざ書くまでもない。
この文章にあるようにそれが、文化全体から評価されるということは私にとっては嬉しい素晴らしいことだと思えるのだ。
男性が作り上げてきた世の中がある、それはそれで大切だと思うけど、
その歪みや偏り、軋轢を緩め、栄養を与え、生きる方向に日々地道な行動で補ってきたのは女性たちの力ではないか?
それなしで社会と言えるのか?
そう思ってきました。
もしかして少子化の問題はそういうところにもあるのではないか?
男性的に皆が働き、それだけが認められるならば、その中で産み育てることは不可能ではないのか?そう思うのが当たり前ではないのか?
(ここで男性的と言うのは、性別そのものを表しているのではなく、概念的なものを表しています)
作る、育む行為そのものが例えば300年前の世界と比べたら随分と脆弱になっているのは明らか
それを少しずつ取り戻す作業を行為をする必要があるのではないか?
昔は価値がなく当たり前としていたことが、もしかしたら今ここで薬として働くかもしれない
今まで思ってきたこと、やってきたことに力を得て
私は今日も編んで食べ物を作ります