公認心理師になってみて、しばらく世の中を観てみたら「あれ?」って思うことが結構あることに気づいた。
受験勉強の中で当たり前のこと、当然あるべきこととして習って覚えて身につけてきた事が
意外と当たり前ではなく、知らない人が多く、行われていないこともあると言うこと。
例えば
大企業の第一線で働いている女性が、お姑さんや義兄さんのお世話を付きっきりで仕事を辞めてまでしないと行けないと言われていたり。
癌であることがわかって、治療は進んでいて改善しているものの、メンタル面のサポートがほとんど見られなかったり。
これはテレビドラマだけど、いじめや不登校ゼロを掲げる校長がそれらをないものにしたり。またはあるのにその対策を担当の教員だけに任せたり。
お父さんの介護と旦那さんのアルコール問題で仕事もあるのに立ち往生してる人がいたり。
もしそこに公認心理師がいれば、そんなことは起こるわけがない。本当は。
なのになぜ?
これらがもし国試の問題に出てきて、そのままでOKと答えたらそれは間違いだ。
公認心理師は専門の知識と他職種との連携とでこれらを支援することが出来るはず。
なのにされてないのはなぜ?
疑問が湧き起こる。
考えて得られたのは「まだまだこれからなんだ」と言うこと。
公認心理師が少ないと言うのもあるけれど、いろんな困っている人を守る法律や社会機構が既にあるのにそれを知らない人が結構いると言うこと。
困っている状態から抜け出せる術が周知されていないことが1番だと思う。
試験のために勉強してみてものすごく感動したのは
困った人を支えるために、いろんなたくさんの人たちが日々研鑽して
法律や社会の仕組みを構築して行っているという事。
法律や条例は頻繁に数年置きに作られたり改訂されたりしています。
その勢いがものすごい。少年犯罪だって障害者だってDVだって例えば30年前、20年前、10年前そして現在で全く認識も対処も違っている。
去年今年に作られる法律だってあります。
例えば、体や心の病で仕事が出来なくなった時にどんな風に治療につながって回復して復帰するかと言うだけでも
しっかりとした決め事があって、安心して休んで復帰できるようになっています。
国会の議員さんたちは罵声を浴びせるだけではなくって、政党の足の引っ張り合いをしているだけじゃなくって
社会で実際に使える通用する仕組みを着々と作っていました。
そんな事勉強するまで知らなかった!あの人たち、頑張ってるよ。
(まあ法律が国会に行くまでにもものすごくたくさんの人たちが働いていると思う)
そしてそれが働く仕組みも学校や職場や刑務所やあらゆる保健福祉施設に伝達されているはず。
動かす仕組みはあるんです。
ただそれを使えるってことを知らない、もっと言えば自分が助けを求めて良いかどうかもわからない人がたくさんいると言うことだと思います。
この前読んだ本。信田さよこ氏の「家族と国家は共謀する」
この副題が「サバイバルからレジスタンスへ」だけど、
この中で、「今まで虐待されてきた人たちは自分が酷い目に遭っていると言うことを表明することで初めて被害者になる」と言うのがあります。
酷い目にあっていても「自分も悪いから」とか「どうすることもできないに決まってる」と思ってじっとしていたら
それは加害とか被害とかにも分類される事すらできない。被害を表明されて初めて加害が確立すると言うのです。
家庭が治外法権になっていた昔は我慢することしか出来なかった。今は政治や法律が家庭内にも働くことが出来ます。加害者ははちゃんと罰せられる世の中です。
困っている人たちのことを専門用語で要支援者と言います。
支援が必要な人には支援ができる世の中なんです。
それは周りの普通の人たちの支えも大事だけど、専門職が専門の知識や法律や社会機構を使って助けることが出来ると言うことです。
耐えて生き残るサバイバルから、表明してより良く人生を送る道に転換させるレジスタンスへ
公認心理師はその案内ができる仕事です。
もっとこれからその仕事が理解され、行き渡って困っている人たちができるだけ短い期間で明るい自分の人生を生きることができるようになりますように。
そのためにも私もできることはして行きたい。