明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

房総  


房総に滞在中、波が常に高く天気も安定せず、雲の間から陽が出るたびに繰り返し撮影に出かけるという状態であった。二度目ということもあり、いつがいつだか区別も付かず、思いだしたところを書くことにする。 特に後半は常に曇っており、思った通りの撮影は出来なかった。それでも『潮騒』の背景はなんとか撮れたように思う。南房総では未だに海女がおり、半裸の娘さんが気軽に記念撮影に応じてくれる ということはない。『船の挨拶』の舞台に、と考えた野島埼灯台は都合二回行ってみたが、いずれも曇天。よほど滞在を延して、とも思ったが、週間予報は連日曇りなので諦めることにした。 今日は朝から野島埼灯台を、無理矢理晴天の風景に変える作業に費やした。私は無い物は撮れない、という写真に常々ムカついており、二度も出かけた私に撮らせないとは何事か、と少々意地になっているわけだが、実は多少の目論みもあった。三島作品の風景はいささかワザとらしい方が三島的ではないか、と考えたからである。うっとりさせられる見事な風景描写ではあるが、描かれた絵のようなところがある。それを私に気付かせるために曇天にしていたとは知らなかった。というわけで、なんだか妙な味わいの風景が一つ出来上がった。後は肝心の『汝の安航を祈る』の信号旗を立てるだけである。ここまできたら灯台にしても、元の場所にスマして立っている、などということを私は許さない。 しかし、調子に乗ることは禁物である。見学者がいないところを撮影したつもりで選んだ灯台を調整していたら、大分進んだところで上でアベックが抱き合っていることに気付いた。 続く

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