海女小屋は某店内を画像処理にて制作するつもりであった。柔らかい外光が入るのが良かったし、窓外に漁村の青空を配すればのどかな雰囲気が出るだろう。しかし調べてみると、現在の観光客向けの海女姿のおばさんが、サザエやアワビを焼いて供する場所とは違い、本当の海女小屋とは、ほとんど掘っ立て小屋のような、かろうじて何かで囲んだような粗末な物であることが判ってきた。藁や戸板で囲っただけの物から、トタンで囲った物まである。昔は女性でもフンドシ、上半身も素っ裸が当然だった頃は、プライバシーも何もなかったであろう。こうしてみると小屋というにはあまりにスカスカではあるが、イメージしてみた海女小屋である。何か良く判らない雑物が置いてあるが、作ろうと思っても作れないのがこの辺りで、このような物がリアルにさせている。同じ雑物でも逆に邪魔だったのが、やたらとぶら下っているスーパーの袋であった。撮影時にどかしたが、真っ白な発砲スチロールの箱も目に付いた。 停泊していた漁船の漁師のおじさんには「何撮ってんの?」と訊かれた。咎められたわけではないが、せっかく広い海が広がっているところで、妙にセコい物ばかりにレンズを向ける私が不思議だったのであろう。私の撮影は常にそんな状態である。 真ん中のコンクリートブロックに海女姿の初江が坐り、出漁中の新治を想う予定である。初江の名を墨書きした初江愛用のタライを配するか未だ決めかねているが、房総まででかけて肝心のアワビやサザエの貝殻を撮ってくるのを忘れた。これは次回の課題とする。
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