明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


ついに11月に入る。 『仮面の告白』から数作考えているが、その中の一つを作っていて、この死に方は別の作品のほうが相応しいように思えてきて、急遽帝國陸軍の制服を着せることにした。制服というからには皆同じかというと、将校クラスになるとお洒落に凝ったようで、それぞれ微妙に違っている。この人物は血だらけの某所玄関前で死んでもらうことになる。出血量のわりに服装の乱れが少ないが、それはこちらの趣味である。ジャズシリーズの頃、作者本人は棚に置いて、ネクタイを緩めてリラックスしているところを何度作ろうとしても駄目で、きちっとさせてしまった。今回は見えないところ、背中に大穴でも開いていることにしよう。この作品のテーマはひたすら出血量である。三島の趣味に反して全体的に出血量が少ないので、その点をこの作品に担当してもらうことにした。当初血みどろ絵的なことを考えていたのだが、私自体が血がそれほど美しいと思わないのでしかたがない。 同時に『奔馬』より神風連に取りかかる。予定では切腹をする明治9年の侍だが、撮影後、粘土制の衣装を剥がすことになるだろう。ということは裸で切腹の男が残ることになる。これを使って何か作るとすれば、『憂國』あるいは『愛の処刑』が考えられる。また何か加えるつもりか、と自分で呆れる。

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