明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



東京は下町の昭和三十年代。男は諦めが肝心である。という風潮があった。もしかすると某区二丁目の傾向だったかもしれないが、あっさりしているのが男らしく、しつこい男など言語道断。もちろん男はスカしてはならない。男の条件。鉄の掟といってもよかったが、子供の頃身についたものは恐ろしいもので、この見得のおかげで未だに苦しめらている。女性に振られてもいないのに早々に自決、という人生上の痛恨事も指折り数える。だがしかし、こと作ることに関しては見得も何もなく、実に諦めが悪い。いやまったく諦めることができない。個展の案内や告知のページに使っている『潮騒あるいは男の死』だが、出品するのとは一部違っている。諦めきれずに変えている。というわけで、もう個展だというのにまだ制作中である。 「だって幽霊ってみんな女だろ?諦め悪いったらないよな」。小学生の私にいったのは上級生の洗濯屋の倅のSちゃんかペンキ屋の倅のKちゃんだったか。

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