明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



『貝の穴に河童が居る事』は当初『貝の穴に河童が居る』であった。鏡花は何故変えたのだろうと思っていたが、昨年暮れに出た『怪』に理由が書かれていた。特集が『河童の最前線』『文豪と妖怪』『柳田國男没後五十年』という私の都合に合わせたような号である。東雅夫さんの『文豪たちの妖怪小説』によると昭和6年。佐藤春夫主宰の文芸誌『古東多万』創刊号に載るさいに、同時に掲載される谷崎潤一郎の『覚海上人天狗になる事』との重複を避けるためだったそうである。先輩の鏡花が譲ったことになる。 河童の三郎の体色が、あまりにただ緑というのも芸当がない気がしてきたので塗り替える。いくらかスッポンじみたかもしれない。甲羅もスッポン調にしようと思ったが、それも芸がない。一部亀甲を残しつつスッポン調にしようと考えている。 正月に制作した三郎の表情違いの頭部は5種。喜怒哀楽にプラス、人間のステッキで腕を折られた瞬間の表情である。“怒”をもう一種作るつもりだが、これに基本の原型である普段の表情が加わる。立体は角度、光線状態で表情が変わる。よほどの事がなければこれですべての場面をカバーするはずである。 夕方銀座の伊東屋に画材を買いにいくついでに山野楽器でギターのピックを買った。長いこと一人で遊び程度にポロポロ弾くだけだったので、ピックを使わず人差し指で弾く、というまるでゲイトマウスブラウンのような妙な癖がついてしまい、ピックが手に付かず。ゲイトマウスはあの長い指で弾くから画になるのである。

去の雑記

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