河童の甲羅、色を薄く塗り重ね、ようやくイメージどおりになった。初代は日本の普通の石亀のように固くて黒っぽかったが、完成作はスッポンと普通の亀の折衷型というか、一部亀甲を残している。こんな甲羅は実際は存在しない、という意味でも良かった。色はというと、おそらく私の頭の中にあったのは青磁であろう。ほぼ満足であるが、あと一色、薄くかぶせたいところ。背負わせてみると、体色も甲羅に近い色に変えたくなってきた。亀はスッポンも含め、甲羅と体色はそう大きく違わないものである。 本日も手に絵の具を付けたまま、なんとかK本に間に合う。そのままT千穂へ常連と流れる。私の作品に旅館の番頭役をやってもらっているTさんが先日激怒した話を聞き耳を疑った。おしゃべりのピッチャータイプが多い常連の中で、貴重なキャッチャー役で、穏やかを絵に描いたような人物だからである。相手は自分の勤める会社のビルに、妙なヒレみたいな物が付いているのに、その下を歩いて25年間気付かないK村さん。(あのKと一緒にされたくないと苦情がくるのでイニシャルKの場合だけ何か付ける)それにしても日頃の立ち振舞いは大事である。可哀想なことに、Tさん本人が何故怒ったか覚えていないのに、Tさんを怒らせたのだからきっとK村さんが悪いに決まっている。ということになっていた。翌日には二人仲良く飲んでいたらしい。それはそうである。なんで言争ったか覚えていないのだから、後をひきようがない。 先日来、孫の誕生が遅れていると心配していたT千穂のマスターに初孫が生まれた。みんなが帰ったあと一人残りお祝いをいう。娘が心配?していたマスターと誕生日が一緒になることも回避された。人が喜んでいるのを見ているは実に良いものである。こちらも嬉しい気分のまま店を出た。私の中にはベンケイガニのような顔が本当に喜ぶとどういう風になるか、というデータが蓄積されたはずである。
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