明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



実家より帰宅。編集者から“また良い本を作ってしまいましたね”という賀状が届いていたが一方、“見せる人みんなキモチワルイって言うんです”という賀状も着ていた。私にいわせれば妖怪は不気味で怖いものであってこそである。ゲゲゲとは趣の違う『墓場の鬼太郎』が墓場から這い出し、目玉の親父が本体から抜け出す不気味なシーンに鷲掴みにされた幼い私である。 そもそもとびっきりの潔癖症である鏡花が、べとべと生臭い、気持ち悪いものとして描いているのであるからあれで良いのである。制作当初から可愛いとはいわせないつもりで作った。 日本人は可愛らしいキャラクターが好きな国民であるが、可愛いものなど他にいくらでもある。怪獣や妖怪くらい、怖くて不気味専門の存在としてとっておけないものであろうか。 そういえば私が可愛らしい物として制作した唯一といって良い作品に、初個展で発表し、初日に最初に売れた黒人の少年がいる。当時、自分の作品を撮影して残しておく、ということなど考えもしなかったので、初期の作品は記録に残っていないが、おおまかな型を取って、素材を変えたりしていくつか作った覚えがある。型は探せば出てくるであろう。少部だったと思うが、量産したい、という申し出が二度あったが、二回とも参考品を受け取ったまま、先方と連絡がとれなくなったり疎遠になったり、とそれきりになってしまった。可愛いものとは縁がないようである。

過去の雑記

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