明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



オイルプリントは感度が低いため引き延ばしができず、作品大のネガが必要である。よってすぐに引き伸ばしプリントを加工するブロムオイルにとって変わられ短命に終わった。利点といえば用紙を自由に選べるところであろう。 15日からのグループ展に向けて約10年ぶりにプリントをしている。昨日、完全に感覚が戻ったことが感じられ、エドガー・ポー2カットに江戸川乱歩1カットが完成した。といっても、同じプリントができないのがオイルプリント。6カット完成させたあと、弱いプリントをもう一度やることになるだろう。 階調を出す為、昔の処方よりゼラチン層を厚くしている。そのことにより、絵の具を画面に着けるのに使うブラシは柔らかい物を使い、最後はそっと軽く触れるようなフェザータッチで仕上げる。ここで画質がぐっとアップするのが一番の醍醐味である。しかしブロムオイルを経験した田村写真の田村さんによると、ブロムオイルではこういうやり方はしないそうである。そういえば、海外のブロムオイルの老作家の映像を見たことがあるが、毛の硬いブラシを鷲掴み、乱暴に画面を叩いているのにビックリしてしまった。私の方法だと、あれではゼラチン層が滅茶苦茶になってしまう。知らないうちに私ならではの方法になっていた。 人形制作もそうだが、独学の自己流は遅々として進歩せず、時間ばかりかかる。不安になった時は上野の博物館に行くと良い。親から子へ、師匠から弟子へ、先生から生徒へ受け継がれているはずが、昔の作品の方が良かったりして、教わったところでたかが知れてる。と安心するのである。

※世田谷文学館にて展示中

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