明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



オイルプリントを再開し、この期に及んで“写真”というはた迷惑な用語から、決別の時が近い、と考えている。写真だろうが版画だろうが印刷だろうがガリ版だろうがプリントである。デジタル時代になり、データの加工は出来るし簡単に失われてしまう。“確たる物”でなくなってしまった。確たる物でないもので真を写す。ということになってしまった訳である。特に何に対していっている訳ではないが、ザマアミロ。という気分である。よってここへ来て、私がかつてイメージした、デジタルと修験者の技のようなアナログな技術を合流させた、人形も人間も、ウソもホントもどうでも良い世界。にようやく違和感はなくなったと感じている。 萩谷剛さんが日本酒を抱えて来廊。昔萩谷さんが編集されていた『クラシックカメラ選科』に、泉鏡花のオイルプリントとともに一文を書かせていただいたことがある。この時は、まだデジタル化がこれほど急速に進むと思っていなかったが、今読むと、内心良い時代が来つつある、と予感しながらもいいたいことを遠慮しているのが判り可笑しい。 そのさらに数年前、ここに同年代と思われる三人の読者投稿があり、そこに作例として写っていたのが田村写真の田村さんである。私が穴の開くほど見ていたおかげで、ある場所で私が田村さんを“発見”した。「ベンチに座っていた方じゃないですか?」。その田村さんも、今では湿版写真の普及に忙しい。 オイルプリントの試作を一人繰り返していた私には、話す相手がいない。もう一人の投稿者Iさんの勤める中古カメラ店にオイルの習作を持って会いにいった。「いつか写真用品店じゃなく、薬品問屋に通って作品を作る人が現れると思った」。といわれた。

オイルプリント制作法

インキング映像↓

http://youtu.be/kZozcEqgKsE 

『モダン藝術写真展』9月15日(月)~10月7日(火)

http://t.co/lc05lwVaiM

※世田谷文学館にて展示中10月5日まで

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