85歳の母がやってきた。先のことを考えると、もはや来るな、という気もおきない。杖突いて一人で飛行機で広島まで行ってきたから鵜の木などどうということはないのだが。もっとも、かけてきた携帯からは「多摩川行きは何番線です?」という声が聞こえていたから、迷うぐらいなら、そこらの人を捕まえ訊いてしまえ、というわけである。車で道に迷っても人に尋ねようとしなかった父に対して、亡くなって随分になるのに未だにいっている。私の人見知りの成分は父由来のものであろう。 会場では目を離すと、私も知らない来場者となにやら話しているから気が気ではない。私のブログを御覧の方がいて、母が錦糸町のバス停で財布を忘れたことを覚えておられていて弱った。 母に対して皆さんに元気ですね。といわれるたび、その後に『親不孝な息子のせいで死んでいられないのだろう』という台詞が私には確かに聴こえている。つい自分から“親を長生きさせたかったら親孝行が一番いけません”といってしまうのであった。 白石ちえこさんが母の写真を撮って送ってくれたが、私には母をこうは撮れないというポートレイトで、またこれを遺影にする、というだろう。どうも意識してレンズから視線をそらせていそうなところがなんとも。ではあったが。
インキング映像↓
http://youtu.be/kZozcEqgKsE
『モダン藝術写真展』9月15日(月)~10月7日(火)
http://t.co/lc05lwVaiM
※世田谷文学館にて展示中10月5日まで
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