ジャズ・ブルースシリーズから作家シリーズに転向し、最初に作ったのが澁澤龍彦である。何しろたくましい黒人から急に転向したので、何度脚を切断し、粘土をそぎ落としたろうか。おっかなびっくり作ったので非常に小さい、と思い込んでいたが、妖精のように、様々な場所に配するつもりもあってことさら小さく作ったのを思い出した。当時は合成などやっていなかった。雑誌のインタビューで、パソコンについてぼろくそいったのを、未だに覚えている人につっこまれる。 二人目は乱歩か谷崎であった。乱歩の第一作は黄金仮面を持たせ、二作目が気球にぶら下がった乱歩である。 作家シリーズに転向したのは、初めてジャズシリーズを撮影し展示したときに、実写と間違えた編集者がいたことがきっかけである。そんなつもりで作ったわけではない。そこで人形でないと作れない作品を、と始めたので、書斎にいたり、いくらでもある作家像にしたくなかった。それで作ったのが『帝都上空』である。老人である乱歩がピストル持って気球にぶら下がるわけがない。だがしかし。これでも実写だと思う人がいた。これはもうしかたがない。 97年。作家シリーズの一回目の個展は、御遺族に許可をいただきタイトルを『夜の夢こそまこと』にした。8年後の処女出版も同じく。そして17年後にようやくオイルプリントになった。
オイルプリントインキング映像↓
http://youtu.be/kZozcEqgKsE
『モダン藝術写真展』9月15日(月)~10月7日(火)《土曜日曜祝は在廊しています》
http://t.co/lc05lwVaiM
※世田谷文学館にて展示中10月5日まで
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