明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



それにしても、とりあえず目にすることができる九代目團十郎像が三者三様、ほとんど別人なのには驚かされる。実物を見たのは歌舞伎座の朝倉文夫作だけだが、ラグーザお玉昨にいたってはリアルに作られているが、いわれなくては九代目だとは思わないだろう。具象彫刻というものはそういうものなのか、と改めて。なにしろ勉強したことがないのでびっくりなのである。そっくりに作りながら、微妙なところに個性を、とそう思い込んでいた。昔、クラシックは音符の数はすべて同じ、と思っていたらそうではないことを知った時の様な感じである。 私の場合はというと本人に見せてウケたいという妄想を抱いているせいで、生前頭頂部を覗かれるのを嫌がっていた、と聞けば、中井英夫の頭髪をサービスして盛ったり、そんなことをする。おかげで禿げていないのが惜しい、などと本人を良くご存知の東雅夫さんにいわれてしまったりする。巨匠連と私を並べて論じては申し訳ないが、私は私なりの九代目を作ることにしよう。

HP 

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