明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



江戸川乱歩作品の映像化はなかなかこれぞ、という作品が生まれない。乱歩のすばらしい着想はいただくが、私だったらこうする、と独自の工夫を加え失敗する。乱歩作品は整合性その他、多少問題があろうと、ああでなくてはあの味は出ず、他に方法がない。 というわけで、満島ひかりはたいした女優ではあるが、第3話『人間椅子』でようやく最後まで観ることができた。私の場合、そう考えて、できるだけ忠実に制作したが、問題があるとしたら、作者の乱歩を『屋根裏の散歩者』『盲獣』『人間椅子』の犯人役にしてしまったことであろう。それでも乱歩を『芋虫』にするわけに行かなかったし、“もじゃもじゃ頭の”明智小五郎にするわけにもいかなかった。しかし、ご家族がまだお住まいだった当時の乱歩邸で撮影させていただいた時、乱歩愛用の椅子に座わって編集者に記念に写真を撮ってもらったが、胸の内から「ユルス」という声が確かに聞こえたのだったが。
HP

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