明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



昨日、中止になった平井憲太郎さん×山前譲さんのトークショーは、日を改めることになった。  会場に行き、今まで長い間、様々企んで来たものだ、と振り返っている。写真は在る物、居る人を撮るもので、ほとんどの人がそうしているので、私は無い物、居ない人を撮っている。面白いのは、私以上にリアルな造形をする人はいくらでもいるが、写真に撮って面白いかというとおそらく別の話である。私がもっとも大事にしているのは佇まいであり、表面のリアル感ではなく、その点は粘土感丸出しで良い。いやむしろだからこそではないかと思う。神は細部に宿る、といわれるが、肝腎なのは、その存在感であり、そのためにはそんな所にそんな物を宿らせる必要はない。引き延ばされた細部に対し、良く出来てますね、と感心されても私が大工の棟梁だったら喜ぶだろうが。そういえばジャズの人形を制作していた頃、作った楽器を褒められているうちに、そんなことはどうでも良いのだ、と次第に不機嫌になってしまった私である。私も若かった。自分のイメージを人に伝える本当の難しさを知るのはその後である。 などと、それを目指し、やってきたというような顔をしたがる私だが、行き当たりばったりの結果を、知ったかぶりしていっているに過ぎない。そんなことをつらつら考えるのに、冷房が効いてる個展会場ほど最適な場所はない。

石塚公昭幻想写真展-生き続ける作家たち- 2018年7月25日(水)~9月2日(日)

新HP
旧HP


『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載9回『牡丹灯籠 木場のお露』

展評銀座青木画廊『ピクトリアリズムⅢ』

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )