明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



個展の図録を見たら『虚無への供物』の中井英夫と『憂國』の三島由紀夫が左右に並んでいた。中井英夫と三島は縁があり、虚無への供物には三島がモデルと思しき人物が出て来るし、私が子供の頃愛読した百科事典のボデイビルの項に三島が使われていて、子供の私は違和感を憶えたが、あれは編纂した中井の依頼によるそうで、三島はあんな嬉しい事はなかった、といっていたらしい。後ろに手をやった上半身は、プロレスファンの私には貧弱に見えた。その辞典は今思うとシャンソンの項が妙に詳しかった。中井の趣味が出ていたのであろう。 さらに言えば、中井は戦時中、市ヶ谷の陸軍参謀本部に所属していたが、後に自衛隊の駐屯地となり、三島はそこで事を起したのだから、中井としては心中穏やかでなかったろう。三島がもっとも好きだったのは、白に金ボタンのエレベーターボーイの制服だった、と中井がいっていたのを知り、その格好で、エレベーターの中で死んでいる三島を作った。なんでそんな物を作ったかというと、三島が喜ぶだろうと思ったからである

石塚公昭幻想写真展-生き続ける作家たち- 2018年7月25日(水)~9月2日(日)

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『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載9回『牡丹灯籠 木場のお露』

展評銀座青木画廊『ピクトリアリズムⅢ』

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtub

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