明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



本日もペットボトルのブラックコーヒーを飲む。今までは考えられないことである。こうなると、後は梅干しを克服するのみだが、あればかりは、単純に食べ物を越えた酸っぱさであって克服する必要はない。コーヒーは飲めないというと格好が悪いと思いつづけてきたが、梅干しはどうでも良い。
会期も1ヶ月もあると、また随分古い作品を見ていると、なんでこんなことを始め、こんな手法になったのか、実際は急に思い浮かんで、それをパン食い競争のパンの如くにかじってきただけだが、多分理由はあるわけで、そんなことを考えるのには良い機会である。それはしいては次にやることにつながる。思いつきというのは、どうしようかな、なんて時には私は浮かばない。上からぼた餅が落ちてきた感じなんていうと判りにくいが、例えば腹が減って、カレーが食べたい、トンカツが食べたいという時は、考えているうち、じわじわと浮かぶ物ではないだろう。パッと浮かぶはずである。あれと全く同じである。ただ作品を見ていただいている方々は、こんなことをしでかすには理由があるだろう、と思うだろうし、理由は確かにあるはずで、実はしでかした本人が一番知りたいところでもある。腹の辺りに、私がコントロールできない別の私がいて、そいつにいつもさせられている感じである。それはもともと写真など興味もなかったのに一人でオイルプリントに没入し、絵が出た時点で満足して止めたが、それが後に個展をするようになって、このためにやっていたのか、と驚いたのは私であった。腹の辺りの私は客観性も備えているようである。 こう書いていて、ある種の寄生生物は宿主の感情、趣向、行動をコントロールするというのを思い出した。しかし人生にはキリがある。時間的にやっていいこととそうでないことがある。今こそ性能の悪い表層の脳を使って、腹の辺りに潜む何者かと戦わなければならないだろう。そう思いながら私のしでかしてきた作品を眺めている。残り三日間、午後には会場へ。

石塚公昭幻想写真展-生き続ける作家たち- 2018年7月25日(水)~9月2日(日)

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2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube


本日25日発行
『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載10回『劇場の永井荷風』


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