明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



今は新潮社の全集にDVDが入っているがYouTubeで『憂國』が見られる。1983年、作品を購入していただいたデザイナーに作品を届けに、阿佐ヶ谷だか高円寺だかのガード沿いの道を歩いていたら、向こうから3年前『狂い咲きサンダーロード』で衝撃を受けた石井聰亙(現・石井岳龍)が歩いてきてすれ違った。  事務所に着くと、今手が離せないので、ビデオでも見ていて下さいといわれた。ずらりと棚に並ぶ中に『憂國』があった。三島の奥さんが廃棄させた、と聞いていたので、何故ここにあるのかは判らなかったが、かなり驚いて見た覚えがある。その時はまさか後に作家像を作ることになるとは思わず、まして三島で個展を開くことになるとは。しかも劇中の切腹シーンに三島は豚のモツを使ったが、私もそうすることになるとは。スタジオに満ちる臭いに閉口して、モツに香水を振りかける三島。こういうことはからきしなのだから、こういう場合止めてあげる人が必要であったろう。当然さらに悲惨な臭いに。後の大黒蜥蜴に兵隊が見えるなんていわれ「磯部か?!」なんてその気になってしまう三島。今回の個展は、作品の選択もほとんどお任せしたのだが、226の将校に扮した三島が展示されるとは思わなかった。あの雪の日戒厳令がしかれ、銀座四丁目も異様な雰囲気だったろう。
石井岳龍といえば、室生犀星の『蜜のあわれ』の作品化を考えていて金魚みたいな女の子を見つけていたのだが、石井岳龍に先に映画化されて断念した。私の場合、犀星の懐から50センチくらいに拡大した本物の金魚をヌルリとまとわりつかせる予定であった。いかん。書いていてムラムラッと来る。              。

石塚公昭幻想写真展-生き続ける作家たち- 2018年7月25日(水)~9月2日(日)(火休)

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『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載9回『牡丹灯籠 木場のお露』

展評銀座青木画廊『ピクトリアリズムⅢ』
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