明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



ある程度部屋が片付くまでは粘土を入手しない、と決めたお陰で苦しんでいるが、そうでもしないと、片付けないからである。作りたければ片付けろ、というはなしである。人物撮影の場合に使っていた部屋は、周辺の建物に光が遮られことなく、遠くからの光が来るので都合が良い。ずいぶん前であるが、二十歳の娘にヌードを撮って欲しいと頼まれたことがあったが、それでも片付けない。これは一種の病気ではないか、とさすがに思った。まあ自業自得しかたがない。 普通に制作している時も、多少マゾ的に作り惜しみし、空腹感を演出し、そして獲物に飛びかかるようにして創作の快楽に浸る、という小細工をしばしばするのだが、それが弓の引き絞り効果となり、大変な集中力を発揮する。こんな空腹状態が続いたら、一体どんなことになるのであろうか。   撮影して作品に被写体として使わせてもらえるか、仲介してもらう人に二、三日中に相談してみることにする。Fさんから電話があったので、そのニューアイデアについて話したら、被写体の持ち主を知っており、行く時は連れていってくれるという。 これは良い状況になってきた、といいたいが、安心はできない。 『三島由紀夫へのオマージュ男の死』を模造刀の関の孫六を振り回しながら制作し、個展会場を探していた時、(右翼が怖いという理由で二ヶ所で断られた) その前年、Fさんにある場所を紹介された。ところが三島が自衛隊に持ち込み斬首に使われた関の孫六を三島に進呈したのが、そこの先代の社長で、切腹の作法を教えたのが現社長だと判明し、三島が導いてくれた!と、大喜び。しかし、何をやっても良いが、三島だけは止めてくれ、といわれた。事件後大変な迷惑を被ったらしい。そんなことがあった。つまり下駄を履くまで判らないのである。
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『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家たち』 2018年7/25~9/2 リコーシメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutube
2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube



『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載10回『劇場の永井荷風』 >

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