明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



太宰治が、各地に転々と残している”川 ぞひの路をのぼれば~という短歌がある。自分が制作した人物の短冊を処分して後悔したことは書いたが、ならば太宰は手元に置いておくことにする。 詩歌の類を解さず、僅かに陶芸家の河井寛次郎や画家の村山槐多の詩を面白く読んだ程度である。歌の歌詞も異常なくらい覚えられないのも、何か理由があるのかもしれない。それはともかく。 小学校も4年生にもなると、買って貰う本は、活字も小さくないと嫌だし、挿絵も子供向けの物は拒否し、リアルでないと見向もしなかったのだが、その頃の一冊に一休禅師があった。衝撃を受けたのが、“門松は冥土の旅の一里塚目出度くもあり、目出度くもなし”という狂歌であった。竹竿にシャレコウベを挿して歩く一休の挿絵があり、本当だ、目出度くもあり、目出度くもない!何々であり何々でない、ということが在るのを初めて知ったのではなかったか。お隣の家で鉄腕アトムを観ていて、お膳の上の味の素に、これを入れて美味しくなるなら、これ自体相当美味しい物に違いないと掌に一センチ程乗せて、目はアトムのまま口に放り込んだ。一プラス一が二ではないのだ、という衝撃は、そのもっと前だったろう。どういう訳だか、こんなどうでも良い事や、初めて何かを食べた時の事は、シチュエーションを含めて無駄に良く覚えているのであった。

タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第16回『トラウマ』

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『石塚公昭 幻想写真展き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界



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