明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

直筆  


最近書に関する興味が再燃している。前に三島を制作している時、ニニ六事件関連の、主に陸軍の皇道派の軍人の書が集まった。それを飾ってどうしよう、と言う訳ではなく、人の書いた歴史書よりも、本当にこんな事があったんだ、と言う意味では、当事者が、例えば真崎甚三郎や荒木貞夫、山下泰文、香椎浩平などの書は、リアルに迫るものがあった。軍人は達筆が多い。 最近は江戸川乱歩の短冊を入手して以来、作家の書を見る機会が増えたが、軍人と違い、個性的である。室生犀星などは、素人目に見ても達筆とは言い難いが、なかなか味があり好ましい。実際は漢文他、何が書いてあるか判らない物がほとんどであるが、何を歌っているのかさっぱり解らない洋楽を平気で聴いているのだから、見て某か感じるのであれば気にする事はないだろう。 昨年さる所から入手した物をまさか本物とは思わず、某所に持っていったら、値段が付いて驚いて手放してしまった。本物だとしたら物凄く安かった事になる。せめて私が制作した人物の書は手放すべきではなかった、と後悔した。 作った作家ではないが、林芙美子の“硯冷えて銭もなき冬の日暮れかな”の短冊は気にいったので、引っ越し先に持って行こうと思っている。これから冬に向かい、余り縁起が良いとは言えないが、活字と違って直筆の文字からは、存外侘しさは感じられない。詩歌音痴の私にも直筆文の効果は大きいようである。

 

タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第16回『トラウマ』

 

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『石塚公昭 幻想写真展き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界




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