引っ越し屋が来ておおよそ運ぶ。後を濁さす、とはなかなか行かず。明日は運び切れなかった物を、昔から作品展などで運んで貰ってきた近所の運送屋さんにお願いしている、助っ人は、飲み仲間のトラックドライバー。引っ越しが迫り、部屋の片づけをしなければならないのに、何故私はマサイ族が地平線を眺めるが如く悠然とし、ついでにクリント・イーストウッドのように、眩しそうな遠くを見る目をしてしまうのか。私には判らない。判っているのは小学校の低学年の時、通信簿に掃除の時間に何をしていいか判らずフラフラしています、と書かれた事である。となるとおそらく生まれつきのもので私には責任はないと言うことであろう。 あれはもう昨年の事だったろう。制作に逃げるのを避けるため粘土を入手せず、部屋を片づけながら、つぶやいたのを覚えている。翼よあれが床だ!
タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第16回『トラウマ』