明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



使う道具は多くはないが、なくてはならないのは粘土ベラである。今まで何本使ってきたか。工芸学校で誰かが竹を削ったヘラをずっと使い続けていた。柔らかい粘土といえど減ってくるのでたまに削る。いずれ使い物にならなくなる時が来るのだろう。その時は困るだろうな、と思っていた。20代の2度目の個展の頃だったろうか、掃除をしていてゴミと一緒に捨ててしまった。これだから掃除などするもんじゃない。数年使ってきて手に馴染んでいたのに、と途方に暮れた。仕方がないので、分厚い竹を切って代用した。所がその日も終わる頃にはすっかり忘れて普通に使っていた。 以来、厚みのある竹でさえあれば何でも良い、とブラシの柄を代用したり、青竹踏み用の竹を買っておいたりした。といっても一本あれば良いのであるが。 本日、大工センターで買った、おそらく子供用の粘土細工ヘラが出てきた。セットの中にあった、何かだけが必要だったのだろう。なんとはなしに使ってみたら、作り続けて四十有余年、最も使い易いヘラであった。

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