明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



浮世絵やかつての日本画の自由さを写真作品に採り入れられないか、と被写体から陰影を削除してみた。おかげで写生をしていた大蛸に襲われ、それでも絵筆を離さない画狂人、葛飾北斉など制作出来た。しかし浮世をテーマにした浮世絵の世界より、超俗的な禅画の世界の方が、一山向こうの世界を描いているようで弾け方が別次元である。 ここまで来ると“現世は夢 夜の夢こそまこと”といった江戸川乱歩チルドレンを標榜し、まことを写すという写真という言葉に抗い続け、まことなど一切写してなるか、とファイトを燃やし続けて来た私も、頭に三本脚の蛙を乗せた男の表情を眺めていると、幼い頃から取り憑かれている甘美な孤独感に包まれるのであった。


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