明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



雪舟の『慧可断臂図』(えかだんぴず)は、必用最小限の情報のみでシンプルな構成で出来ている。そこが良い訳で、禅宗の開祖達磨大師と、第二祖となる慧可禅師。禅画のモチーフとして名場面であろう。しかし座禅一つしたことがない私のような人間からすると、もう少し要素を加えたい。あまり説明的になるのも野暮だが、慧可は、釣れ過ぎてしまった魚を自宅で血抜きを済ませてきたので、お裾分け、みたいではある。それに覚悟を表している割に、泣きそうな顔は違和感がある。 この場面は積雪の場である。慧可は膝上ぐらい雪に埋め、頭や肩には雪を積もらせたい。そして静かにうつむき加減に瞑目し、手には切り落とした左腕。それに使われた剣が積雪に垂直に突き立てられている。鮮血は雪上に点々と最小限に。覚悟の念を感じ、振り向く達磨大師。私の『慧可断臂図』はこんな感じになる予定である。


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