明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



私が一時熱中して飼っていた熱帯魚にフラワーホーンというのがいた。慣れてくると頭を撫でることもでき、こんな頭の良い魚は知らない。繁殖も比較的楽であった。ただシクリッドという魚種の常で、縄張り意識が強く、他の魚との混泳はよほど水槽内のバランスがとれていない限り不可である。何種類かの魚を掛け合わせ固定化し、東南アジアで人工的に作り出された魚で、ホーンといわれる出っ張ったおでこや、赤色や、黒い斑点などが、風水にのっとり評価され、華僑の間で流行した。模様が目出度い数字に見えようものならとんでもない値が付けられたた。 中国モチーフの作品を手掛けてみると、頻繁に吉兆アイテムが登場する。蝦蟇仙人の三本脚のカエルなどは、まさにそうで、幸運、金運の象徴であり、本能寺には織田信長遺愛の品が残されているそうである。それに対し相方の鉄拐仙人は、鉄の杖とは別にひょうたんを持っている。これも代表的な吉兆アイテムである。なのでひようたんを持たせることにした。そんな訳で鉄拐仙人は後回しにし『慧可断臂図』の慧可禅師の頭部を作ることにした。


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