英語道(トラスト英語学院のブログ)

長野県伊那市の英語塾「トラスト英語学院」の塾長ブログです(^^)/
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「色男」の完全なる退場

2019年12月06日 | 2020年大学入試制度改革
先月、大学入学共通テストへの英語民間試験導入延期が決定されましたが、もう一つの問題点であった、国語と数学の記述式問題導入も見送られることが確実となりました。以下は信濃毎日新聞「信毎web」からの引用です。
国・数の記述式導入、見送りへ 50万人分の公平な採点懸念

大学入試センター試験の後継で2020年度開始の大学入学共通テストを巡り、政府は5日、国語と数学への記述式問題導入を見送る方向で最終調整に入った。与党幹部が明らかにした。約50万人の答案を短期間で公平に採点するのは不可能といった批判が相次ぎ、予定通りの実施は困難との見方が強まっていた。

公明党の斉藤鉄夫幹事長は同日午後、萩生田光一文部科学相と省内で面会し、導入延期を要請。斉藤氏によると、萩生田氏は「重く受け止める。受験生のことを考えると1年前までに方向性が決まっていないのは不安だろうから、年内がリミットだ」と述べ、近く最終判断する考えを示したという。(12月5日23時16分)
これで、2020年度大学入試制度改革の二本柱を失うことになります。しかし、これは当然の帰結。従来の大学入試センター試験に何も悪いところはなかった。記述式問題で受験生の思考力や論理力を試すのは、国公立大学の二次試験で既に行われていること。50万人以上が受けるセンター試験で行う意味はそもそもない。カネと利権が絡んだ政府主導の“改悪”に、受験生が食い物にされるところだったのです。

従来の形に戻ることになりそうで、一安心です。ただ、「英語」のリスニングが100点になるのはいいのですが、発音・アクセント・文法・英文整序がなくなり、読解だけになるのは納得できませんが・・・(苦笑)。

英語民間試験導入延期と国語・数学の記述式問題導入延期が決定されるまでの騒動で、私の頭の中に常にあったのは、大学受験英語の神髄を世に知らしめた、我が長野県出身の碩学・伊藤和夫先生の言葉です。先生が亡くなる12日前に記された『予備校の英語』のあとがきからの抜粋を紹介させていただきます。22年前、すでに今日の状況を予言されたような記述で、鳥肌が立ちます。
予備校が滅び、大学受験の中で受験英語が必要でなくなる時代が来れば、今の「色男」対「悪役」という体制のうち、後者が退場することになる。色男は大喜びだろうが、その時代に残るのは会話英語とカルチャー英語という、うまそうな匂いだけで実体のない、ごく薄っぺらなものでしかないと思う。ただそれですべてが終わるはずはない。この日本人の中で、一部少数ではあっても英語の読める人間が必要だという事態は必ず存続する。

(伊藤和夫『予備校の英語』あとがき より引用)
さあ、これで「色男」は完全に退場しました。私はこれからも一部少数の「悪役」であり続け、英語の読める人間を育ててまいります。


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