社会人になって4年目。このまま銀行員として人生を送っていくことに迷いを感じていたある日、書店で一冊の本を手にしました。
『「タイム」を読んで英語名人』。大学進学後から社会人になっても英語の勉強は続けていましたが、「世の中にはこんなにもすごい人がいるんだ!」と衝撃を受け、自分の英語に対するスタンスの甘さを実感させられました。英文が本当に伝えようとしていること、その英文の裏の意味、そして、英米の文化にまでも精通する必要があると教えられ、すぐにタイムを講読して英語との本格的な格闘が始まりました。
最初に紹介されている critical の原義だけで十分に学びがあり、留学時に提出するエッセイには「英語で critical thinking ができるようになるのが目標」と記すくらい、二十代最後の私に最も影響を与えた英語指南本でした。のちの英検1級合格、TOEIC990点満点取得のための精神力を養ってくれた一冊と言っても過言ではありません。
そんな『「タイム」を読んで英語名人』の著者・松本道弘先生がお亡くなりになったと、昨日知りました。
2005年5月から書き始めた当ブログですが、タイトルの「英語道」は、『「タイム」を読んで英語名人』を参考につけさせていただきましたが、後日、松本先生に「英語道」という名称の使用のお許しをいただいた時は、とても優しく対応していただきました。
今、「2000年12月20日第1刷発行」と記されている『「タイム」を読んで英語名人』を手元に置き、読み直しています。22年前のあの時、この一冊と出会えてなかったら、今の私は存在しません。三十路を前に誰もが感じる焦りや不安。それらを払拭させ、英語と向き合う人生を歩む決断をさせてくれました。
松本道弘先生のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。