帆∞翼(セイル バイ ウイング) -太陽そして風と供に- 

海・南風・そして何より”真夏の太陽”が大好きな翔です。

「よろしく!」  

 急性アルコール中毒&熱中症 夏の浜辺の危険性

2013年07月21日 | Weblog

 

ま~ったく風が吹かなかった昨日の三浦。  「駄目だ~コリャ!」と引き上げ準備に取りかかる僕。

 

すると、 トイレ横の砂地に男性が座りこんでいる。 動けないみたいだけど、年齢にしたら22~25才くらいだろうか・・・。

そしてそのすぐ横に彼女? 友達?らしき女性がいて、ペットボトルをもって、盛んにその男性に呼びかけている。

スロープが有るので足でも滑らしたか?と、初めはたいして気にもしていなかったんだけど。

何回かその横を歩いて往復している内に、その若者がだらりと寝転がってしまい、ゆすっても起きない意識混濁状態になりつつ有ることが分かった。

 

「やばいな~・・・・・」 と、片付けしながらチラチラ観ていたのだけど、あまりにもまずい状態なので、 片付け最後に女の子に声をかけた。

 

丁度その男性の友人らしき男性も来て、女の子と二人そろって「大丈夫です・・・・」

と返事するが、僕からすると、そんな事を言える状態では無い。

 

考えられるのは二つのうちどれか、もしくはその二つの混在状態。

一つは急性アルコール中毒、もう一つは熱中症だ。 

 

気温がさほど高くないとはいえ、浜の温度は30度以上になる。 そして今日は余り風もない。

朝からたくさんの若者が来て、テントをはってバーベキューだ何だと楽しんでいるが、

彼らの口に入るのはビールだけではなく、カクテルなども混ざっている。

 

10時頃から始まった騒ぎだけど、 丁度風の無い状態の時で、テントを張り、テーブルを運び、食材運びその他諸々で全身は汗だく。

朝の気温こそ低かったが、お昼頃に気温も上がり、 当然に体は半脱水状態となる。

 

普段から運動して、炎天下に何時間もさらされるのに馴れていないのは、肌の白さからすぐに分かるわけだが、

いわゆる普通のサラリーマン等は、いきなりの炎天下では馴れていないから異常に発汗が著しくなるわけだ。

 

そこに来て 焼き肉などの辛い食材を食べながら、同時に冷たいビールを大量に取ると、

身体の自律機能がおかしくなる。

 

更には濃度の高い、酎ハイやカクテルをビールのように飲んでいるが、こうした物を肝臓が分解する際には、

体内の水を大量に消費するようになっており・・・・・、 ところがそうした高アルコール飲料が缶で安易に売られているのが現状なのでね。

高濃度のアルコール飲料でも、甘くて飲みやすく、楽しさ手伝えばいくらでも体に入る。

 

一度大量に発汗し、そして内臓の急激な温度低下、そして気温の劇的上昇。

乾ききった体に大量摂取した高濃度アルコールは一気に全身へ回り、 当然、脳の中枢部にいきなり作用する。 

 

この場合、ビールで水分?を十分に摂取しているはず!とおもっていると思っているだろうけど、実際にはそうではない。

自律神経のマヒで引き起こされる体温上昇、いわゆる軽い熱中症状態と水分不足の体に入り込むアルコールは、結果としてブースト効果で血中のアルコール濃度を劇的に高める。

 

この若者がどんな飲み方をしたのか?は詳細に分からないけれど、完全な混濁状態。

手助けをすべきか? と迷うが、昨今の”人を助けて訴えられる”この国の現状を鑑みると二の足を踏む。

 

この若者の場合 顔の色、意識状態、そして脈と 血圧に注意する必要が有る。

嘔吐どうとかと言っていたのは聞こえていたが、意識はほぼ無い。

呼びかけに応じず、すぐにボテッ!と横になってしまう。 これはショック症状が現れる前兆で、片付けで何回か通過した際に僕の目に入っていた

顔色は蒼白で、諸処の状況から熱中症と急性アルコール中毒の混在と判断。

普通、急性アルコール中毒の場合、 毛布を掛けて保温するのが対処の原則だが、暑い砂浜に横たわって動かず、 

Tシャツと太ももに汗が殆どかいていない事が分かれば熱中症の症状も出ているのは間違いない。

この場合は暖めるのではなく体温を落とさねばならない。   

多分もう、半ショック状態だと・・・・

そこにいた女の子と若者に、 この青年の首や脇の下などいわゆる血流の多いところにタオルなど当てて水をかけて冷やし、 出来れば冷房のあるところに移し、脈を継続して取り続けることを指示。

ただし、絶対に僕はその若者に触れる事は無い、これには大きな理由が有る。

 

できれば水分を取らせる必要が有るが、余りにも冷たい水は逆効果となる。

 

脈拍を測るように言ったが、これは拍が分からないほど弱い場合には明らかな血圧低下であり、

同時に脈拍数が落ちるほど 死の瀬戸際に進んでいる可能性有りということ。

脈が逆に異常に上がっている場合も、自立津神経系が暴走状態で、両者とも救急車をすぐに呼ぶ必要が有る。     

それは明確に指示したけど・・・・

 

少し様子を観ていて、この先どうしようか?と悩む。

厄介のなのは、こうした応急措置においては、 下手に現場で患者?に触れると、後で必ず厄介なことになる。

というのは、救急車を呼んだ場合に、事の一部始終と こちらの連絡先などの情報を必ず確認してくる。

 

万が一、容体が急変し、その場や病院で亡くなるような事態が発生しようものなら、その友達二人を含めて、来ているであろう他の仲間達は絶対に責任から逃げようとする。

そんなことは、僕の人生経験からウンザリするほど経験している。

いわゆる、苦しくなると都合良く誰かに責任転嫁しようとするのが人間の性でもあるからだ。

 

一番厄介なのは目の前で倒れているこの若者の親で、 もしもの際には応急処置を施した人間の情報を消防から聞き出し、人権派弁護士にそそのかされて訴えてくる可能性が、半端じゃなく高いわけだ。

*人権という言葉を看板につけた弁護士や団体に禄なのがないのは、絶対事実。

 

残念な事に、今の日本社会は何でも人の責任だ。

たとえそれが善意で行ったことに対してでも 「あの時、あんたが診たから死んだんではないか?」と必ずなる、そして有罪になる。

これが目の前で大量に出血して今手当てしなければ数分で間違いなく死に至る様な状況なら

間違いなく僕は処置を取るけど、こうした熱中症や急性アルコール中毒等の場合には、

天候や状況含めて対処が幾重にも別れ、非常に判断が難しくなる。

 

その人物の飲んだアルコール量や、普段の身体的健康度(持病含めて)等を知らない以上は、ただ、黙っている以外にはない。

冷たいようだが、僕の知り合いの医師が口にするように、どんなにその患者のために手を尽くしたとしても、それで亡くなるようなことが有れば、 平然と訴えられる事が医療現場で起きている。

以前、産婦人科医が殆ど落ち度もないのに、子供が出産直後に亡くなった事が有った際、

人権派弁護士にそそのかされて訴訟となって医師側が敗訴。

その後、いっせいに全国の小児科と産婦人科が全面的に縮小もしくは病院から無くなってしまったケースが実際有る。

そうした今の世の中の悲劇?を耳にするたびに、助けたくても助けられない現実も有るのだと。

 

残念なことにそうするしか方法が無くて、 まかり間違ってもヒーロー宜しく何かしようなどと考えてはならないわけで、身体のことに関しては、そんなに簡単ではないわけだ・・・・

 

荷物を全て積んで車を発進させる直前、 他の友達二人に両肩を支えられて、何とか車へ連れられていくその若者の姿をみた。

無事であることを心底願いつつ、「もう二度と無理するなよ!」、 と心で声をかける僕でした。