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この夏、大変うれしいことに、講談社青い鳥文庫から『ハックルベリー・フィンの冒険』上巻、下巻を刊行することができた。
『桐生タイムス』の連載「永遠の英語学習者の仕事録」にも書いたが、
http://kiryutimes.co.jp/wp/wp-content/uploads/20210626_uesugi_03.pdf
http://kiryutimes.co.jp/wp/wp-content/uploads/210724_uesugi_04.pdf
“All right, then, I’ll go to hell”
「よし、じゃあ、おれは地獄に行く。」
は世界文学に刻まれた名ゼリフであると思うし、『ハックルベリー・フィンの冒険』にはほかにも読者の心に訴える言葉がたくさんある。
この作品はもう何度も読んでいるが、今回訳してみて気になったのは、40章にあるハックのセリフだ。
I knowed he was white inside
knowedはもちろんknewであるが、この表現について、マイケル・パットリック・ハーン『ヴィジュアル注釈版「ハックルベリー・フィン」』には、次の解説が記されている。
「乱暴でここでは差別的な言い方だが、ハックはジムが自分とまったく同じだとおそらく認識している。この日この時に口にできるおそらく最高の言葉でジムを称賛しているのだ」
ここから「ジムは心が白人だってわかっていたから」と言いつつ、「おれと同じで心が真っ白な人間だから」と思っていると解釈できる。
名作は読めば読むほどいろんなことを教えてくれる。
特に若い読者の皆さんには読んでいたけるとうれしい。
『ハックルベリー・フィンの冒険』(青い鳥文庫、上、下)
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000352320
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000353152
プロモーション・ビデオはこちら。
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