GetUpEnglish

日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

STEVEN MILLHAUSER

2019-06-25 08:27:58 | M

 Steven Millhauser1943-  )は大好きな作家のひとりだ。

 柴田元幸訳の『私たち異者は』が本日発売なので、そちらも大変楽しみにしている。

  https://www.hakusuisha.co.jp/book/b454348.html

 現在、ミルハウザーの最新短篇集Voices in the Night(2015)を読んでいるが、これもすばらしい。

 本日のGetUpEnglishはそのなかの一篇 “A Recent on Our Recent Trouble”から引用してみる。

The answer, we have concludedlies not in our failure to live up to a high code of conduct―not in the realm of failure at all―but in the very qualities of our town that we think of as deserving praise. By this we don't mean to suggest that our town is a shamthat beneath our well-groomed surface is a hidden darkness―a rot at the heart of things. Such an explanation we find naïveeven childish. It suggests that by the simple act of tearing off a mask we can expose the hideous truth  beneath―a truth thatonce revealedwill no longer have the power to harm us. Such an analysis strikes us as banal and consoling. Our townwe maintainis in fact the excellent place we've always found it to be. It is precisely the nature of this excellence that we wish to examine more closely.

 その答えを、すでにわたしたちは出しています。わたしたちが高尚な規律にしたがって生きていないからというわけではありません。そんな生き方をしていないからでは決してないのです。そうではなく、答えはまさしく賞賛に値すると思うこの町の特質にあります。だからと言って、わたしたちの町はまやかしであると言いたいわけでありません。見栄えのいいこの町の背後には闇が隠されているのであり、ここは本質的に腐っていると言いたいわけではないのです。こんな言い方で理由づけるのは、あまりに物事を知らなすぎる、幼稚であると考えます。そんな論理は、仮面を剝ぎ取りさえすれば、背後に隠された真実が剝き出しになると言っているようなものです。真実がひとたび白日の下にさらされば、もはやそれは私たちに害を及ぼす力を失うだろうとほのめかしているのです。そんな分析は陳腐で、単なる気休めに過ぎません。わたしたちの町はほんとうにすばらしいですし、昔からずっとそうだったと断言できます。そうしたこの町の美点、その本質を、これからさらに検証してみたいと思います。

 ミルハウザー作品の最近の特徴として、ニュース記事のように(必ずしもニュース記者が書いているわけではないが)物語がつづられるということがあると思う。この短篇にもその良さが出ている。

 

 

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