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大ヒット中の『スパイダーマン スパイダーバース』。
この映画はこれまでのアニメーションの常識をぜんぶ塗り替えてしまったうえに、音楽も会話も信じられないくらいクールだ。
そして主人公のMiles Moralesはアフリカン系アメリカ人の父を持ち、甥のAaronはこの文化に通じているので、会話の節々にアフリカン・アメリカンの俗語が出てくる。これが実の楽しい。
たとえば、次の場面を見てみよう。
“C’mon, man,” Uncle Aaron said again, closing the microwave door and pressing the start button. “I cannot have a nephew of mine on the streets with no game.”
“I got game!” Miles said defensively. “There was this new girl, actually, she’s kinda into me. You know how it is.”
“What’s her name?” Uncle Aaron asked.
「しっかりしろよ。」アーロンはまたそう言うと、電子レンジを閉めて、スタート・ボタンを押した。「女も連れずに街に繰り出す甥を持った覚えはないぞ。」
「女の子いるよ!」マイルスはむきになって答えた。「ひとり転校生の女子がいて、その子ぼくのこと好きみたいだ。わかるでしょう?」
このgameはここでは「女」を指していると思う。gameは「遊戯、遊び、楽しみ、娯楽」の意味があるが、もちろんその意味も含みつつ、「女と楽しくやる」という感じが表現されているわけだ。
この映画には黒人の音楽であるブルースやラップやヒップホップにも通じる言い方もたくさん出てくるし、そのあたりは現在翻訳中のノベライズで存分に楽しめる。
早めに翻訳刊行したい。
https://www.amazon.com/Spider-Man-Into-Spider-Verse-Junior-Novel/dp/0316480282