なんだ、おれに用か?
なんだ、おれに夢中か?
殿はかまわれるのが好きなので、
ご飯をお持ちすると、
(おれに用か?よし、構うがいい)となり、
ご飯には見向きもせず、
妹二匹がご飯を食べてるところから
離れようとする。
妹たちがメシに集中してる間は、
殿が誰の目も気にせず、
安心して甘えられるひと時だから。
そして殿のご飯は、
あっという間にビーの腹に。
くるしゅうない、ちこう寄れ。
出かけるとき、
ビーは(行かせないよ~!)と、
玄関の前に居座るし、
モンチは真っ黒な目で見つめて、
出かける気をくじいてくる。
「殿、留守中、よろしくね、
ビーとモンを頼むね」というと、
殿は(まかせておけ)というような、
頼れるいい顔をして、
私が出かける邪魔をしようとはしない。
最近は、夜寝るとき、
私の周りに、
ビーとモンがとりまいているせいか、
殿は素直にベッドに来れない。
殿は「ウオーウ!」「アアオー!」とうなりながら、
家中を駆けまわる。
走り回る殿を落ち着かせようと、
名前を優しく丁寧に呼ぶと、
殿は部屋に響くような音で、
グルルルンと喉を鳴らし、
壁に顔をすりすりし、
ベッドに来たい様子なんだけど、
つかまえて連れてきても、
しばらくグルルルンと全身を響かせた後、
急に我に返り、(おれをなめるな!)と、
ベッドから降りて走り去る。
走り回って騒ぐ殿に、
おとなしく寝てもらうには、
3回は殿をお迎えに行かなければならないので、
「三顧の礼」といわれている。
甘えたい気持ちと、
妹猫たちの前でかっこつけたい気持ちで、
葛藤してる殿だけど、
私と二人きりになると、
グルルルルンが高鳴って、
とろけそう。
ふん、おれをなめるなよ。