北朝鮮が4月4日~8日の間に自らは人工衛星の打ち上げだと称しているミサイルを日本の上空を越えて太平洋に落下させるコースで発射する。
対して麻生首相の対応は韓国や米国、英国と協力して安保理決議採択を目指していくことと、北朝鮮に対する新たな経済制裁、そして北朝鮮ミサイルが日本に落下する場合に備えてミサイル防衛(MD)システムを海陸に配備し撃ち落す実戦配備を現在進めている。
このミサイル防衛(MD)システムによる迎撃に関してはマスコミが決まりきって“美人”と名づける人妻を自身の議員宿舎に連れ込んで宿泊させ名を馳せたことで、普段は黒子的に陰に隠れているものだが、政界の表舞台に立つことになった鴻池副官房長官が3月26日の参院予算委員会で政府の対応に冷水(れいすい)を浴びせるような発言をしている。
「私はピストルの弾がピストルの弾に当たる、ピストルの弾同士が当たるというのは、なかなか難しいことだなあと思っている」(「asahi.com」)
鴻池副官房長官が参議院に呼ばれたのは“政府筋”という肩書きでマスコミに「鉄砲をバーンと撃った時にこっちからも鉄砲でバーンと撃って(弾と弾が)当たるか。当たらないと思う」(同「asahi.com」)と発言したため、その真意を問われることになったからだが、多分麻生首相が進めているミサイル迎撃が骨折り損のくたびれ儲けに終わるよ、やめた方がいいよと教えたい親切心からだろう、それとも不倫問題でマスコミに露出し騒がれ、脚光を浴びた味が忘れられなくて、再び露出したくなったことからの発言だったのだろうか。
閣内不一致とも取れる発言だが、その不効果発言に意地でも迎撃態勢を強硬に推し進めなければならなくなった一面もあるに違いない、政府は3月27日に自衛隊にミサイル破壊措置命令を発令、自衛隊は発令を受けて部隊を移動させるに至っている。
もし北朝鮮のミサイルが日本上空で落下しなければ、迎撃ミサイルは発射されることはないわけで、大山鳴動ネズミ一匹も出ないことになるが、そうなる前触れとなるような象徴的出来事が起きている。
北朝鮮ミサイル迎撃に備えて移動中の地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)部隊の発射機を載せた大型特殊車両が道を間違えて30日午後10時20分頃、秋田市新屋町の野球場「こまちスタジアム」入り口にある照明灯土台ブロックと接触、車両はブロックと球場の壁に挟まったまま約3時間半立ち往生した(「asahi.com」事故のことだが、失敗は許されない部隊展開の中での3時間半も立ち往生したつまらない失敗はそれが本来業務とは関係ない失敗だとしても、それがつまらないことである程、意外と本来業務の先行きを予測する。
麻生首相は3月10日、記者から北朝鮮のミサイル発射に絡めて拉致被害者救出に向けた質問を受けている。
記者「北朝鮮は人工衛星の名をかりたミサイルの発射をちらつかせるなど強硬姿勢である。現状を踏まえて、拉致被害者救出の道筋については」
麻生「少なくともミサイルというような問題を、撃つ、撃たない。これは国連の安全保障理事会との関係もこれあり、基本的に主権に対する侵害という点に対しては、拉致の問題もミサイルの話も、基本的なところは日本にとりまして大きな主権の侵害ということになっている。また拉致、えー、ごめんなさい、ミサイルの方に関してもこれは、ロケットと言おうと何と言おうと、これは日本の上空をいきなり飛んでくる確率、極めて高いものなんであって、そういったものに関して、安保理条約の決議に違反していることははっきりしてると思いますんで、これはこれまで同様の対応です」(≪【麻生首相ぶら下がり詳報】北朝鮮ミサイル「日本にとりまして大きな主権の侵害」(10日夜)≫msn産経/2009.3.10 21:55)
拉致も日本上空を通過させるミサイル発射も日本の主権侵害だと主張しているが、麻生ではなくても誰でも言える非難言葉であろう。単に事実をなぞった発言から一歩も出ずに答を終わらせている。
「外交の麻生」を宣伝しているからには、「拉致被害者救出の道筋について」滔々と喋っていいはずだが、答えないことが「外交の麻生」と言うことなら、答えない姿勢は間違っていないことになる。
「国連の安全保障理事会との関係」とは「Wikipedia」を参照して説明すると、「国際連合安全保障理事会決議1718」のことで、北朝鮮が2006年10月9日に行った核実験を非難し、これ以上の核実験と弾道ミサイルの開発・発射中止の要求、さらに特定兵器の禁輸を含めた経済制裁等を盛り込んで2006年10月14日に国連の安全保障理事会で採択した決議のことを言い、今回の北朝鮮のミサイル発射を日本や韓国、米国、英国は「国連決議1718」違反だとして、安保理の場で新たな決議を求める動きに出ているというわけである。
つまりもクソもないが、2006年10月14日に国連の安全保障理事会で採択した「国際連合安全保障理事会決議1718」は北朝鮮を制御するに何ら役に立たなかったことを意味する。役に立っていなかったにも関わらず、新たな決議を採択する。決議にしてもその効果に関しても、双方共に屋上屋を架すようなものに思えるが、そうではないのだろうか。
決議決定権を握っている安保理常任理事5大国のうち中国・ロシアが慎重な姿勢を取っていることから、その面でも実現性の程度を懸念する声が既にマスコミの間に挙がっている。
この辺の事情を「asahi.com」記事で見てみる。
≪「安保理決議違反ってのは大きいですよ」26日の首相≫(asahi.com/09年3月26日19時43分)
【北朝鮮ミサイル問題】
――北朝鮮のミサイル発射施設で、「テポドン2号」とみられるミサイルが発射台に設置されたという報道がされている。4月4日から8日の発射に向けて、着々と準備が進んでいる模様だが、改めて政府として今後、どのような対応を取っていくのか。
「基本的には、これまで申し上げてきた通りです。それもう1回言うの? 昨日も申し上げたんで。同じことを聞いておられるんですかと聞いている」
――確認だが………。
「あー、確認ですか。あの、昨日も申し上げたと思いますが、基本的には日本として、こういうような行為は、仮に衛星であろうと、何であろうと、国連安保理決議1718違反であることは、はっきりしておりますんで、そこのところは、きっちり我々としては、国連で安保理決議の可能性を含めてやっていかなければならんと思っていますし、国際社会が一致した形で、これを非難する方向で行く、ということをやっていかなければならないと思っています。あの、昨日お答えした通りだと思います」
――関連だが、いまの総理の答えの中で、ミサイルが発射された場合には、国連安保理決議違反だと言うことで、当然、国連安保理決議などの対応を含めて、という話だった。決議の中にも制裁決議、非難決議であったり、それより低い議長声明とかの対応が安保理で考えられると思う。日本政府としては、安保理のメンバーとして、どのような対応を目指していくのか。
「それ、いま申し上げた、お答えした通りです。安保理決議を目指していく。安保理の、いわゆる安保理決議という名の1718違反ですから、いま申し上げたじゃないですか。それを目指していきますと」
――ただ、制裁決議とか非難決議とか、決議にも………。
「安保理決議違反ってのは大きいですよ。えらくなめたこと言ってるけど。安保理決議違反なんですから、安保理の決議違反に対して、国連加盟国として当然に安保理の話に従ってもらうというのは、通常の国の対応です。それを、まあ、あなた、えらい軽いもんに見られているようだが、全然違いますよ。僕は違うと思います」
何が「それ、いま申し上げた、お答えした通りです」なのかわけが分からないが、要するに本人もロシア・中国の態度から判断して非難に向けた強いメッセージ性を持たせることができる「制裁決議」や「非難決議」を獲ち取ることは難しく、実現できたとしても「議長声明」ぐらいと分かっているから、満足に答えることができず、ミサイル発射は「安保理決議違反」だを持ち出すしかなかったのだろう。
しかし「外交の麻生」を看板としているということだけからではなく、説明責任という点からも正直に「中国やロシアの態度を考えると、制裁決議や非難決議を実現させることは難しい。最悪の場合、議長声明だけでも実現させたい」と国民に説明すべきだと思うが、そうではないだろうか。
大体が麻生太郎ご本人が成果が覚束ないままにヒステリックにキャンキャン吠え立てる安っぽい犬みたいにいくら「安保理決議違反」だ、「安保理決議違反」だと叫び立てたとしても、「国連決議1718」自体が役に立たなかったことを証明しているように北朝鮮の将軍様金正日は最初からそんなことを聞く耳を持たない偉大なる将軍様なのであって、そんな相手のことも計算に入れずに「安保理決議違反」を言うこと自体に無理がある上に滑稽ですらある。例え最も非難性の高い「制裁決議」が実現して、新たな経済制裁を加えることができたとしても、金正日のこれまでの例からしたら、カエルの面にショウベンに過ぎないだろう。
「外交の麻生太郎」は安保理での決議採択と並行させて日本独自の経済制裁の発動を考えているそうで、その具体的な内容は「朝鮮総連などの資産凍結を発動して、北朝鮮がミサイル関連部品入手の資金源を断つ」(「msn産経」)ことや北朝鮮への輸出全面禁止といったところらしいが、「毎日jp」記事は<だが、既に実施した北朝鮮船舶の入港禁止などの制裁で、05年に69億円だった輸出実績は08年は8億円に激減。「相当な制裁をやっており、これ以上はなかなか難しい」(外務省幹部)ため、象徴的な意味合いのものにとどまりそうだ。>と、安保理の決議採択と同様に実効性に疑問符をつけている。
日本のこれまでの経済制裁が効果を見ないのは誰の目にも明らかなことだが、後ろに控える中国やロシアが北朝鮮を外交カードとしてそれなりの経済援助や貿易取引の機会を与えていること、ミサイル技術の中東諸国等への輸出、多分跡を絶っていない麻薬の密造と販売や偽ドル紙幣の発行での荒稼ぎによる外貨獲得等を北朝鮮経営の算段としているからだろう。
経済制裁の実効性が曖昧なことも「外交の麻生」らしく、「外交の麻生」でなくても分かることだが、承知していることを「msn産経」記事(【麻生首相ぶらさがり詳報】海自の海賊対策開始「心から感謝と敬意を」(30日夜)≫2009.3.30 20:33 )から見てみる(一部抜粋)。
【北朝鮮ミサイル問題】
--北朝鮮の関連だが…
「北朝鮮。はい」
--本日昼、公明党の太田昭宏代表と会った際に、北朝鮮がミサイルを発射した場合の追加経済制裁について、首相は『考えなければならない』とおっしゃったそうだが、追加経済制裁についていかがお考えか
「まず、北朝鮮にミサイルを発射させないようにするのが一番です。それに今、当面全力を尽くしているというのが、当面のところ。これが一番。仮に発射された場合どうするかという件については、国連の安保理の対応、他国との対応等々、考えたうえで、考えさせていただきます」
--今のところ追加経済制裁については…
「最初から、まだ打つ前の話…。打ってからの話。打つ前の話を今してるんで。今、打つ前の段階ですから。あらかじめすべての段取りが決まってて、そういったらしますよ、なんて言うわけないでしょうが?」
「北朝鮮にミサイルを発射させないようにするのが一番です」――ごく当然の当たり前のことだが、再度の核実験と弾道ミサイルの開発・発射中止を求めた「安保理決議1718」すら役に立っていないのを無視して、こう言える神経はさすが「外交の麻生」と言うだけはあると寒心する。“感心”ではない。
経済制裁についても勿論のこと、実際的な決定は状況の経緯を受けて変化を伴うだろうが、北朝鮮が発射を中止した場合を想定した経済制裁シナリオは存在しないはずで、あくまでもミサイルを発射した場合を想定して、予定としての経済制裁のおおよその内容――「段取り」を前以て想定していないはずはない。
ミサイルを発射しました、それでは経済制裁の具体的な取り決めを始めましょうでは危機管理の点からだけではなく、外交としての体裁を成さないことになる。それを「打ってからの話」などと言う。既に新聞・テレビが全面禁輸とか朝鮮総連などの資産凍結とかを伝えているにも関わらず、そういった報道すら平気で無視する。
その効力が怪しいから、安保理決議の種類を言うことができないのと同じく具体的な経済制裁の内容まで言えないのだろうが、それでは国民に対して説明責任を果たさないことになり、不正直の謗りを免れない。
正直に実際のところを国民に説明してこそ、総理大臣としての説明責任を果たすことができ、人格的にも信頼が置けるということになるのだが、そうせずに予想される効果を隠すから単なる強がりに堕す。
「外交の麻生」が張子に変じて、「強がりの麻生」と化すことになる。元々張子だから、「強がりの麻生が」実体といったところなのだろう。
北朝鮮は日本の安保理決議採択を求める動きを批判し、国連安保理で何らかの行動があった場合は核問題をめぐる6か国協議から離脱することも辞さない構えを見せている。既に触れたように「外交の麻生」は記者に「拉致被害者救出の道筋について」質問され、「外交の麻生」らしくそんな「道筋」は頭の中に思い描いているはずはなく、狡猾にも答をはぐらかせて不正直にも国民に向けた説明責任を放棄して済ませたが、ただでさえ拉致問題は解決した、2008年秋までに拉致再調査を終了すると08年8月に約束しておきながら、その約束さえも果たしていない北朝鮮がもし6か国協議から離脱したなら、すべての話し合いの場を失うこととなって、元々立てることができなかった拉致問題の解決の見通しはますます立たなくなる。
そのようになった場合の日本の対応の国民に向けた説明があって然るべきだが、「北朝鮮にミサイルを発射させないようにするのが一番」だとか、「安保理決議違反」だ、「安保理決議採択だ」と言うだけで、拉致に関わる予想される障害に関しては「外交の麻生」の口から何も説明はない。
このことに関しても国民に正直な説明責任を果たしているとは言えないことになる。日本の対北朝鮮外交は拉致解決を最優先としていたはずだが、ここにきて拉致問題が口にされることは殆どなくなり、ミサイル発射と迎撃ばかりが取り上げられているが、最優先とした以上、拉致解決を軸にミサイル問題や安保理決議問題を議論していいはずだが、「外交の麻生」流からしたら、変幻自在、置き忘れても何とも思わないのだろう。
「外交の麻生」が言う「北朝鮮にミサイルを発射させないようにするのが一番」の具体的な方法は単に各国と連携して安保理決議採択の動きを見せるとか、ミサイル発射を北朝鮮に自制する働きかけを中国やロシアに求める、あるいは日本独自の経済制裁を科すとするメッセージを発するといった、これまでも何ら役に立っていなかった同じ外交策を単に繰返しているように見えるが、当然、「1718」の結末を見るまでもなくマスコミや識者が見ているように今回も成果は期待できない危険性が高く、金正日が聞く耳を持たないから当たり前のことかもしれないが、同じことを繰返しているだけでは芸がなさ過ぎはしないだろうか。
今日3月31日、衆参両院でミサイル発射に自制を求める決議をそれぞれ全会一致で採択したというが、これも他に打つ手がないから埋め合わせに行う儀式でしかないだろう。
はっきりしていることは独裁者金正日が北朝鮮を支配し・統治している間は拉致問題も核問題も本質的な解決は期待できないということであろう。拉致に関しては拉致首謀者は金正日自身だろうからである。
いわば金正日の生存中は自身を冷酷な極悪人に貶める拉致の全面的な解決は望めない。
例え金正日が目出度くあの世に旅立ったとしても、金正日の子供が世襲して権力を掌握した場合、権力継承の正統性を父親である金正日に置くことになるから、常に英雄として扱わなければならない必要に迫られて、金正日の仮面を暴いて極悪人の顔を曝すことになる拉致解決は依然期待できないことになる。
軍事体制に関しても世襲の場合はその正統性が弱まって不安定な体制を招きやすく、国内統制のために軍事的締め付けを強化する必要上、国際世論の反発に対して軍事力を一段と増強して現在以上に核兵器を虎の威としない保証はない。
世襲以外の場合、それが金正日に近い独裁思想の持ち主であっても、その権力が単独ではなく、集団指導であっても、軍事力を国民統治の道具としたとしても、経済回復に日本の戦争補償が必要となった場合、拉致解決と交換の可能性は生じる。
金正日の将軍様の仮面を暴いて極悪人の顔を曝すことになったとしても、極悪人に貶めることで逆に自分たちを正義の立場に置くこと可能となるからだ。例え日本からの戦争補償の大部分が万が一の彼らの中国やロシアに向けた国外逃亡資金として私腹を肥やすことになったとしても。
金正日は北朝鮮経済復興に日本の戦争補償を喉から手が出るほどに欲していながら、自分が拉致首謀者だから、経済回復を犠牲にして拉致の全面解決に持っていくことができないでいる。
と言うことなら、日本にできる北朝鮮向けの圧力は「外交の麻生」のように「安保理決議違反」だ、「安保理決議採択」だと叫び立てるのではなく、ミサイル開発や核開発に関しては、「そのことに巨額のカネを費やすよりも、国民を満足に食わせることが為政者の務めではないか」というメッセージを様々な方法で送ることではないだろうか。「国民を満足に食わせることのできない為政者はその資格を失う」と。
「国民の食料やを生活を成り立たせるエネルギーを外国からの援助に頼って、ムダな軍事力にカネを使っている。北朝鮮にとっての外敵は自由と人権の抑圧という内敵に起因しているのであって、自由と人権の抑圧によってつくり上げている内敵を取り除きさえすれば、同時に外国からの脅威――外敵も取り除くことができる。その役目を金正日は果たしていない」というメッセージを。
拉致解決に向けた圧力は当然、世襲による権力継承に反対するメッセージを発することである。例え内政干渉だと批判されようとも、特に中国・ロシアに働きかけ、反対意識の同盟国を形成するよう努力すべきだろう。もし世襲ではない権力の継承が実現したなら、拉致解決の可能性は僅かながらでも出てくる。
「外交の麻生」は北朝鮮の世襲権力に関して次のように答えている(一部抜粋)。
≪最近おやせになった?「すごい健康」20日の首相≫(asahi.com/2009年2月20日23時45分)
【北朝鮮】
――次です。外交の話なんですが。
「外交、はい」
――アメリカの複数の有力紙、ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズなんですが、クリントン国務長官が北朝鮮の権力継承問題について「仮に平和的な継承でも、一層の先行き不安が生まれ、国内の権力基盤固めのため、さらに挑発的な行動が誘発される可能性がある」と発言したと伝えています。ミサイルなどの脅威もある中、日本政府の認識を。
「あの、少なくとも、外国の外務大臣が言った言わないって話を、外国の報道機関を通じて入った、そのことに関して、裏もとれない間に、コメントすることはありません。それから、それを、北朝鮮を、北朝鮮の行動については、引き続き注意深く、これはもう、今までと変わらず、いろいろ言われている通りなんで、あのきちんと、あの、なに、よく見ておく、というの、当然の、当然のことなんであって、少なくとも、核保有国だと、言っている国が、極めて、その行動というものがよく見えないところに対しては、隣国として当然、注意して見守っていく。当たり前のことです」
2月20日の記者会見である。1ヶ月以上経過するが、「外交の麻生」はクリントンに対してその発言の「裏を取」る労を費やし、北朝鮮の権力継承とそのことによって引き起こされるだろうと予想される北朝鮮情勢、及びそのことに影響を受ける朝鮮半島情勢、日本の情勢について「日本政府の認識」を親切・正直に国民に説明する説明責任を果たしたのだろうか。
一切聞いていないように思えるが、知らないのは私一人だろうか
要するに満足な答が頭に浮かばなかったから、「裏も取れない」と言ったまでで、だから理路整然とは無縁のしどろもどろの回答となったのだろう。
この「外交の麻生」の外交オンチはまさしく “麻生パラドックス”と名づけてもいい滑稽な逆説性を抱えた外交能力と言える。