御手洗の中国頼みは麻生の「100年に一度の大不況から日本が最初に脱出する」を大ウソにする

2009-06-12 08:51:54 | Weblog

 

 9月8日の「NHK」インターネット記事《中国経済 過剰な期待をけん制》が次のように伝えている。日本を訪れている中国の王岐山副首相が日本経団連の御手洗会長らと意見交換。

 御手洗「世界経済が危機に直面するなか、中国は高い経済成長率を維持しており、存在感は大きくなっている。中国政府のかじ取りに対して、大きな関心を持っている」

 記事は王岐山副首相の直接の言葉は伝えていないが、次のように解説している。

 〈中国政府として内需拡大に向け、投資促進策の強化などの取り組みを進めていると説明しましたが、中国経済の先行きについては、輸出など外需の落ち込みが大きく、決して楽観できないという見方を示し、欧米や日本などで広がっている中国経済に対する過剰な期待を戒めました。〉――

 多分これは我が日本の偉大なる総理大臣麻生太郎の立場を思いやって擁護した発言ではないだろうか。何しろ我が麻生太郎はサブプライムローン問題に端を発して、2008年9月のリーマン・ブラザーズの破綻に誘発されたアメリカ発の金融危機が全世界を襲うや、いち早く「世界が100年に1度と言われるような不況に入りつつあります。異常な経済には異例な対応が必要です。日本もまたこの世界不況の津波から逃れることはできません。しかし、大胆な対策を打つことで、世界で最初にこの不況から脱出することを目指します」と08年12月24日に記者会見で声高らかに宣言したのである。

 いくら日本の経済界を代表する経団連の会長と言えども、日本を代表する点に於いて総理大臣を差し置くわけにはいかない。差し置いて日本経済の回復を「世界経済が危機に直面するなか、中国は高い経済成長率を維持しており、存在感は大きくなっている」云々と中国経済に期待したのでは、「世界で最初にこの不況から脱出する」の麻生の言葉をウソに貶めることとなって、一国の総理大臣としての麻生の立場を台無しにしてしまう。
 
 中国の王岐山副首相はそのことに気づいたから、中国と戦略的パートナーシップ関係にある日本の総理大臣麻生太郎に恥をかかせないよう、中国経済も矛盾を抱えていてアメリカも欧州も日本もとばかりに景気回復を牽引できる程力強く活動しているわけではないと謙虚なところを見せたのではないのか。

 御手洗日本経団連会長は民間の立場に立つ者として総理大臣麻生太郎の公式見解に違わぬよう、それを尊重、頭から信じてこう言うべきだった。

 「世界経済が危機に直面するなか、世界で最初にこの不況からの脱出を目指している日本の存在感は大きい。日本の麻生政府のかじ取りに対して、大きな関心を持って欲しい」
 
 このように言った上で、尚且つ任せておけとばかりに胸をドーンと一つ力強く叩いたとしたら万全である。相手を十分に信用させることができるだろう。麻生の顔を立てることにもなる。胸を叩いた後、むせたりしたら、信用を与えるどころか、相手をして眉に唾をつけさせかねないから、その点は気をつけなければならない。

 だが、自民党政治と密接な関係にありながら、御手洗会長は実際には日本の景気回復の牽引役として中国経済に期待を示したことで、麻生太郎の「世界で最初にこの不況から脱出することを目指します」の宣言をウソのものとしてしまった。

 9月6日の「日経ネット」《企業収益、アジア依存最高 09年3月期、営業利益の36%占める》は、日本企業が収益向上のアジア依存が高まっていることを伝えている。

 日本の〈上場企業が2009年3月期に稼いだ営業利益のうち、アジア地域の比率は36%と過去最高で、下期(08年10月~09年3月)に限れば日米欧がそろって赤字となる一方、アジアだけが黒字を確保した。世界同時不況の中でもアジアの需要は底堅かった。日本の国際企業にとり、アジアでの収益力が中長期的にも成長を左右するようになっている。経営資源を重点配分する動きもあり、10年3月期もアジアが収益を下支えしそうだ。>と、日本企業のアジア依存を解説している。

 このような現実のものとしてある実体的な影響から経済人として止むを得ない中国依存ということなのだろうか。

 だとしても、中国に経済上の色目を使った時点で麻生の「世界で最初にこの不況から脱出することを目指します」をウソとしたことに変わりはない。

 麻生太郎の公式見解をウソとしたのは御手洗経団連会長ばかりではない。6月10日の「asahi.com」《早期解散の可能性も示唆 自民・菅選対副委員長》が、7月12日の東京都議選に敗北すれば「麻生降ろし」が起きかねないとして、都議選前に解散に踏み切り、「8月2日投開票」が望ましいとの自民党最大派閥の町村派の声に対して自民党菅義偉選挙対策副委員長の10日に行った東京都内の講演の言葉を伝えている。

 「(千葉市長選など)一連の地方選挙の様子を見ながら、国会の法案の審議状況を見ながら解散する」

 「(衆院議員の任期満了の)9月10日までの間に(首相は)解散権を行使すると思う。・・・・都議選の後とか、8月2日、9日、30日、9月6日投票と言われているが、誤差の範囲だ」

 麻生は常々公の場で「政局よりも景気対策、選挙よりも経済対策」と言い、解散・総選挙の決定基準を政局や選挙ではなく、景気対策・経済対策に置き、そういった姿勢を政権党としての責任としてきた。

 それを自民党最大派閥の町村派の声にしても、菅選挙対策副委員長にしても、政局や選挙を重点に解散・総選挙を語ることで麻生の「政局より経済対策、選挙より景気対策」をウソとしている。

 これは御手洗経団連会長と同じ罪を犯す裏切りであろう。本来ならお仲間である以上、日本国総理大臣麻生太郎を親船に見立て、すべてを親船に乗った気持で任せることが仲間としての仁義のはずだが、仁義を通さないのだから、裏切りと言われても仕方があるまい。

 それとも麻生初め閣僚も自民党国会議員も「世界で最初にこの不況から脱出することを目指します」にしても、「政局より経済対策、選挙より景気対策」にしても、最初からタテマエだと承知していて、景気回復に関しては中国依存、解散・総選挙の決定基準に関しては選挙、政局がホンネ中のホンネだったと言うことなのだろうか。

 だから、支持率が失速しかねない低空飛行を続けるばかりだったから、それとの睨めっこが続いて、踏ん切りをつけることができないままに解散が先延ばしになってしまった?

 麻生の言っていたことが元々のウソ・タテマエだったとしても、御手洗にしても菅にしても、それをウソ・タテマエだと世間に曝した裏切りを働いたことに変わりはない。

 また麻生内閣が6月10日に掲げた2020年までの温室効果ガス削減の中期目標にしても、05年を削減基準年としたのは京都議定書締結の90年を削減基準年とした8%削減よりも、数字を大きく見せることができる15%削減だとする指摘もあるが、事実だとしたら、「極めて野心的」だとする麻生の言葉は麻生のウソの歴史に新たなウソをつけ加える企みとなるだろう。

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