言葉の軽い人間は地位をも軽くする麻生太郎

2009-07-17 15:08:02 | Weblog

 

 相変わらず日本の首相にふさわしい単細胞な中身のない発言をいとも軽く口にする麻生太郎だ。中身がないから、言葉が軽い。言葉が軽いから、軽々と簡単に口を突いて出る。その悪循環に全身付き纏われているらしい。

 頭の中の思考回路を器質的な欠陥としているのか、子どもの頃から使う習慣がなかったためにサビついて機能しなくなっているか、そのどちらかなのだろう。

 昨16日の6時近くの官邸でのぶら下がり記者会見での遣り取り。

 《 「首相VS記者団」 両院議員総会「逃げるとかそういうつもりはまったくありません」7月16日午後5時58分~》毎日jp/2009年7月16日)
A:はい。

 ◇両院議員総会を巡る動き

Q:日本テレビです。よろしくお願いします。まずは両院議員総会開催を巡る動きについてです。午後になって署名を撤回する動きが出てきていますけれども、総理はこの状況をどう受け止められますか。

A:両院議員総会の開催については、これは幹事長、また両院議員会長、いわゆる執行部に、党の執行部にご一任してあるというのは、私のなに、官邸がどうのこうのという話ではありません

Q:ただ、混乱しているように受け止められるかと思いますけれども。

A:あの、いろいろ解散を巡っていろいろな話がある。知らないわけじゃありませんけど、それに対応、つきましては幹事長に一任してあるところです

Q:両院議員総会もしくは、総理が出席しての緊急集会を開く必要性についてはどうお考えでしょうか。

A:あの、両院議員総会とか、いろんな形があろうと思いますが、今お話がいろいろ出てきておりますんで、私としてはそういった場が設定されるんであれば、その場に私自身も出席をさせていただいて、話を聞かしていただき、かつ私自身の所信も、なに、考え方なりも述べたいと思っておりますんで、そういう場を設けていただけるなら、ぜひ出席をさせていただきたいと思っておりますんで、この種の話から、話を聞く気がないとか、逃げるとかそういうつもりはまったくありません。

 ◇与謝野氏、鳩山氏の退陣要求

Q:総理、毎日新聞です。

A:はい。

Q:今日の午後に、与謝野大臣と鳩山邦夫前総務大臣が会談されて、その中で、麻生総裁のもとでは次期衆院選を戦えないということで一致したということです。これについての受け止めをお願いします。

A:あの、お二人の気持ちとして、そういうお気持ちをお持ちの方もいらっしゃるんだと存じます。

 ◇与謝野氏の対応について

Q:両院議員総会の話に戻るんですけれども、その政権を総理と二人三脚で支えてきた与謝野さんが署名をしていますけれども、これについてはいかがでしょうか。

A:与謝野先生が何?

Q:与謝野さんがその署名をしているわけですけども、これについて総理としてはどのように思われますか。

A:あの、与謝野先生の危機感の表れだと理解してます。

Q:そして、きのう与謝野大臣と石破大臣と会われた際に、総理の退陣を求める発言もあったということですけれども、総理はそれをどのように受け止められたんでしょうか。

A:あの、昨日その質問をいただいたと思いますが、その時にもお答えしたと記憶してます。個別会談の内容について、私のほうから話をすることはありません。

 ◇解散の閣僚署名について

Q:総理、共同通信です。この、今後ですね、解散詔書に署名をしないという閣僚が出てきた場合のご対応というのは、どのようになりますでしょうか?

A:あの、仮定の質問っていうのはこういう際よく聞かれるところですけれども、仮定の質問にお答えすることはありません。 
 両院議員総会の開催は、官邸がどうのこうのという話ではありません。――

 そう、官邸が開催を決める問題ではありません。「幹事長、また両院議員会長、いわゆる執行部に、党の執行部にご一任して」あります。勿論、開催した場合、麻生総理大臣退陣要求が出たら、例え否決されたとしても、麻生太郎の立場を失いますし、可決されたなら、それこそ大問題ですから、是が非でも開催阻止に向けて“一任”ということで、開催要件に従った“一任”と言うわけではありません。開催要件を満たしているということなら、切り崩してでも開催要件をなし崩しにする方向に持っていけという“一任”です。

 両院議員総会開催の目的は、地方選挙総括派も加わっていたと言うが、初期的には麻生では選挙は戦えないということからの総裁選の前倒しを要求することに置いていたはずである。当然、支持率の問題だけではなく、麻生太郎の総理大臣としての資質や人間性も議論の対象となる。それを開催するかしないかの文脈でのみ把えて、「官邸がどうのこうのという話ではありません」と開催決定に「官邸」を無関係の場所に置いて他人事のように言える言葉のセンスはさすが麻生太郎ならではの独占物と言える。

 “一任”がすんなりと一任で済まず、開催するかしないかで紛糾している状況に関して「混乱しているように受け止められるか」と聞かれると、「いろいろ解散を巡っていろいろな話がある」と「いろいろな話」でいとも軽々と済ましている。

 「話」自体に何ら形容詞をつけない「いろいろな話」とは、さして問題となる話ではないということでなければならない。「いろいろ難しい話がある」、「いろいろ困った話がある」、「いろいろ厄介な話がある」とは言っていない。

 だが両院議員総会を開催要求する側からすると、「解散を巡っていろいろな話がある」を厳密に解釈すると、麻生総理大臣のままの解散で党内の意見が一致していない、いわば自民党議員の相当数が総選挙を指揮する総理・総裁としての資格を麻生太郎にはもはや認めていないというところに置いているということであって、そのように見られている総理・総裁としてはまともな感覚を持ち合わせていたなら、自身も深く関わっている深刻に受け止めなければならない状況なのだが、「知らないわけじゃありませんけど、それに対応、つきましては幹事長に一任してあるところです」と自身とは距離を置いた重大ではない問題としている。

 まともな感覚の総理・総裁なら、いわば十分にKYな(空気の読める)人間なら、自分から両院議員総会の開催を求めて、例えその局面で紛糾する場面が生じたとしても、自己を批判の俎上に曝し、進退を議員の総意に委ねたなら、潔さと責任感だけは残る。

 だが、自分自身の進退・資質が問題となっているのに、そのことを議論する場の設定を他人に「一任」して自身を距離を置いた場所に置いたのでは、如何せん、潔さも責任感もクスリにもできないだろう。逆に狡猾さだけが浮き上がってくる。

 そのくせ両院議員総会、あるいはそれに準じた議論の場が設定されたなら、出席して、「この種の話から、話を聞く気がないとか、逃げるとかそういうつもりはまったくありません」とさも正々堂々としたところを見せている。

 口先だけのことだから、正々堂々と言えたのだろう。

 正々堂々がホンモノなら、「幹事長に一任」ではなく、「話を聞く気がないとか、逃げるとかそういうつもりはまったくありません」と初めから宣言して、自らのリーダーシップで都議選、その他の地方選の敗北の責任をも含めて総括を受ける場を設定すべく率先して動いたに違いない。

 だが、そうしなかった。支持率低下にしても地方選敗北にしても最終的には自身の責任に収束すべき問題であるにも関わらず、あくまでも「幹事長に一任」の立場を取り続けて自分は動こうとしない。

 都議選前だから言えた「国政と地方の選挙は違う」という言葉も、都議選敗北という結果が麻生不人気・自民党政治不人気の影響を受けた敗北である事実から逃れることができずにメッキが剥がれたにも関わらず、その事実にも目をつぶって、責任逃れに終始し、足元が揺らぎに揺らいでいてそういった状況ではないのに一致団結して総選挙を戦おうとか、政権を任せられるの自民党しかいないとか誤魔化しを働く。

 与謝野大臣と鳩山邦夫前総務大臣が会談して、「麻生総裁のもとでは次期衆院選を戦えないということで一致したということです」、「これについての受け止めをお願いします」と質問されて、「そういうお気持ちをお持ちの方もいらっしゃるんだと存じます」とこれまた自分から距離を置いた他人事の答となっている。

 二人とも麻生が総理大臣として任命し、一人は財務大臣という重要な立場で現職閣僚に現在もとどまり、一人は罷免した元閣僚である。その二人が一致して「麻生総裁のもとでは次期衆院選を戦えない」という気持を持っている。閣内から反乱者が出たということでもあって、「そういうお気持ちをお持ちの方もいらっしゃるんだと存じます」といった軽い問題ではないはずだが、頭の思考回路を通して言葉を咀嚼する能力を欠いているから、幸いにも「そういうお気持ちを」云々で済ませることができる。

 与謝野の両院議員総会開催に向けた署名に関しては「与謝野先生の危機感の表れだと理解してます」と答えている。

 記者は「どのような危機感の表れ」なのか問い質すべきだったろう。「麻生総裁のもとでは次期衆院選を戦えない」という「危機感」なのは探るまでもないことだが、もし麻生が答えなかったなら、記者の方から、与謝野大臣と鳩山邦夫前総務大臣が会談して「麻生総裁のもとでは次期衆院選を戦えないということで一致したということです」から、その「危機感」だと思います。その結果、「総理の退陣を求める発言」に至ったということでしょうからと教えて、このような「危機感」を向けられた当事者としてどう受け止めているかを問い質すべきだったろう。

 そうしていたなら、「個別会談の内容について、私のほうから話をすることはありません」などと答えることができただろうか。

 我が日本の麻生太郎は共同通信の記者から「解散詔書に署名をしないという閣僚が出てきた場合の対応」を問われて、「仮定の質問にお答えすることはありません」と正々堂々と答えているが、もし北朝鮮が日本を攻撃することになったら、どう対応するか問われても、「仮定の質問にお答えすることはありません」と答えるのだろうか。

 6月18日(09年)の「asahi.com」記事――《北朝鮮の戦争相手は日本 米専門家が推測》が「金正日(キム・ジョンイル)総書記が健康悪化で日常執務を減らす中で」金総書記が02年の小泉首相(当時)との首脳会談で拉致を認めて謝罪したことに「憤慨」している「海外経験のない国粋主義的な若手将校らが影響力を強めてい」て、北朝鮮が戦争を始める場合、反日感情から攻撃対象は韓国ではなく日本の可能性があるとする米国の北朝鮮専門家のセリグ・ハリソン国際政策センター・アジア計画部長の分析を伝えている。

 分析の中の「日本と紛争になった場合の北朝鮮の能力を非現実的に評価して他の将校らの懸念を呼んでいる」としている指摘は戦前の日本の軍若手将校に通じる自軍戦闘能力に対する危険な過大評価ではないだろうか。

 「仮定」にも色々ある。可能性・危険性の高い「仮定」、限りなく低い「仮定」。但し危機管理の思想から言うと、どのようなな「仮定」であっても、「仮定」が事実となる場合を想定してそのことに対処する有効な方法を模索することが必要不可欠となり、「仮定」のままで置かない。

 現実に「署名をしないという閣僚が出てきた」場合、「仮定の質問にお答えすることはありません」とした麻生はその言葉の軽さ・中身のなさが露見して、笑い者になるだろう。

 今日17日の「asahi.com」記事――《自民両院総会見送りへ 21日、議決権ない懇話会》は予断を許さないものの、両院議員総会が見送られる公算が強くなったことを伝えているが、その中で、〈中川氏らが進めた両院議員総会開催を求める署名に応じた与謝野氏は16日、「署名が集まった以上、きちんと開催するのは民主的手続きを誇る自由民主党がやらないといけない」と述べ、首相が総会で地方選敗北を総括しなければ、解散書類に署名しない可能性を重ねて示唆した。 〉と与謝野の動向を伝えている。

 さらに、〈与謝野氏は15日、首相と官邸で会った際、自らの進退を懸ける覚悟で、総選挙の厳しい情勢と都議選総括の必要性を伝えた、とされる。ただ与謝野氏に近い議員によると、首相は真剣に受け止めず、与謝野氏は失望感を深めたという。このため政府・与党内では、与謝野氏が辞任しかねないと懸念する声もある。 〉としている。

 この「asahi.com」記事が伝える与謝野財務大臣と前述ぶら下がり記者会見で見せている麻生と、両者の姿はかなり色合いが違って見えることが分かる。与謝野の深刻さに対して麻生の軽さが際立つ。その軽さは一議員なら許されもするが、内閣を率いる総理大臣が見せている軽さなのだから、驚き以外の何ものでもない。

 言葉が軽いから、人間も軽いというだけではなく、総理・総裁という地位まで軽くしてしまっている。

 だからこそ、支持率も低迷する。

 最後に自民党混乱の一因となっていた宮崎県知事東国原の衆院選出馬要請問題、要請に対する総裁候補要求等がすべてご破算となって、出馬取り止めで一件落着した。

 東国原がこれからでも遅くはないと立候補したとしても、行く先々で面白がってか人生の記念にするために人は集まるだろう。小泉元首相みたいに選挙権のない女子高生まで集めるかもしれない。

 だが、マスコミがこぞって出馬要請を大騒ぎして取り上げ、本人も「私が行く党は負けません。負けさせるようなことはしません」と自信たっぷりに保証したが、マスコミの過剰報道と本人の過剰なまでの自信に反して世論調査では出馬に反対の意見が大勢を占めた。

 この現象は定額給付金が世論調査では政策として大多数が否定しながら、受けるとしたのは70~80%も占めたのと重なる出来事と言えないだろうか。

 東国原は人は集めるだろうが、世論調査で出馬反対とした意思表示どおりに票にはつながらない。

 それとも喉元通れば暑さ忘れるか、東国原の人気を他の自民党議員にもおすそ分けすることになることにも気づかずにか、自民党に投票する人間が無暗やたらと増えるのだろうか。


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