7月5日の日曜日、フジテレビの『新報道2001』で東国原を中継出演させて、民主党代表代行菅直人と自民党小池百合子の生出演を交えて、地方分権、その他を論じていた。地方分権のコーナーのみを取り上げて、議論の内容を見てみることにした。
司会者は須田哲夫と吉田恵。コメンテーターと言うのか、黒岩祐治が務めていた。
最初に黒岩祐治から鳩山由紀夫民主党代表の政治献金問題を聞かれて、菅直人が鳩山個人の資金を秘書が個人献金がさもたくさんあるかのように見せかけるためにしたことで、私個人はその説明に納得していると発言すると、小池が「野党ボケの話だなと聞いておりましたけども」、「小沢前代表に対して説明責任が足りないと言ってらっしゃった方にしては説明が足りない、これで総理の目はなくなったのではないか」、対して菅が小池のことを「細川政権では細川の側近で、佐川急便問題であのときは大変だった、それ忘れて、今の瞬間だけのことを言う、自由党にもいて、与党になったら、与党ボケしたのではないか」と遣り返す。
小池「問題は何をやるかです」
菅「それはそうですよ」
小池「自民党を変えるという、東国原さんと私ね、気持一緒なんですね。やはり日本を変えるっていうのは、自民党を変えるって言うこと、これにつながる。そういうことです」
政権を変えることによって日本を変えることは可能だが、それがいい方向への変化かどうかは分からないが、日本を変えたからといって、だからと言って直ちに自民党が変わる保証はないはずである。自民党の変化不全によって今の日本があるのだから。
アメリカの戦後経済発展が日本を豊かにし、その豊かさの陰に隠れて社会の矛盾が目立たなかっただけの話で、経済発展が止まって以降、元々あった矛盾があからさまな姿を現すようになった。自民党政治が放置し、放置することで増殖した数々の社会的な矛盾なのである。
地方分権も自民党政治に放置されてきた矛盾の一つなのは言うまでもない。
菅「それで日本新党に入ったのですか?」
小池「そうですよ」
ここで司会陣が割って入る。小池の「日本を変えるっていうのは、自民党を変えるって言うこと」は東国原が日本を変える、自民党を変えると盛んに言っていることを取り上げたのだろうが、さすが政界遊泳術の巧みな小池らしい持ち上げであると同時に、東国原の考えに自己を同列に置く巧妙な自己宣伝となっている。
次に講演の模様なのだろう、古賀誠から衆院選出馬要請を受けたときの様子を壇上から説明する東国原を映し出す。
東国原「(地方分権)これを実行させなきゃいけないので、その責任者にしてくれと。責任者は大臣じゃありません。大臣ぐらいじゃできない。最高責任者にしてくれ。『何ですか?』と古賀さんがおっしゃった。(笑い)
総理・総裁ですと言ったら、古賀さんが・・・・(目を丸くし、口をあんぐりとあけて呆気に取られて固まった表情を数秒つくる)、あの悪人が男の古賀さんが(自分の顔に両手を持っていき、そういった顔だというようなしぐさを見せる)天子のような顔になってるんだから(瞼を頻りに瞬かせ、口元に優しげな笑みを洩らして天使の顔をつくる)」・・・・
ギャグに変えてしまうのだから、地方分権の必要性を口では言う程に深刻には把えていないらしい。少なくとも笑いを取る余裕はある。
そこへ自民党の小池百合子が街頭で支持者と握手して歩いているところをマイクを向けるシーンが挿入される。
小池「うまいと思いますね。自分の政策を、あそこでボーンと出すわけですからね。そしてこういうあのー、節目のときっていうのは、そういう政策がコロッと実現できたりもする、その一番いい潮目を読んで、いるっていうのは、センスがあると思いますね」
その人気にあやかろうとしているのだろう、東国原共鳴者を演じている。これを無節操と見るか見ないかである。東国原は「地方分権」とは言っている。「9知事連合のマニフェスト」とも言っている。だが、その中身、地方分権の中身――いわば小池が「政策」だとしている中身についての直接・具体的な言及はない。
須田アナの二つの出馬条件であった一つのマニフェストに関して、前向きに検討するという返事を自民党から貰ったが、もう一つの総裁選候補にという条件に対して何か返事があったのかの問いに対して、
東国原「えー、それに関してはありません」
黒岩「総裁選に出馬できる環境をとの意味があったり、一つよく分からない」
東国原「二つあると思うんですね。僕があのー、総裁選の前倒して総裁選に出るときは、総理・総裁を代えなきゃいけないですねー。で、総選挙があって、もし、仮ですよ、私が自民党さんから出馬して、当選したと。国会議員である、要件がありますね。それと推薦人20人。えー、集めるという今の要件がありますねえ。それを確約してくれと。あー、確保してくれるかという、ですね」
黒岩の次の問いかけから判断すると、一つは総選挙前に総裁選を行って、東国原自身が国会議員の身分を持たないまま出馬する。だから、黒岩は「規定を変えると言うこと?」と問わなければならなかった。
もう一つは総選挙が先で、当選して自民党国会議員という条件を確保することになったなら、総裁選出馬条件である推薦人20人の確保を確約してくれと要求した。どちらにしても、自分が言っている総裁候補にしてくれと言うことよりも、限りなく総裁にしてくれと言っていることに近いある意味虫のいい要求である。世襲議員よりも苦労しないで総裁の階段に辿り着こうとしているのだから。
黒岩「じゃあ、今すぐに総裁選ぶ、その規定を変えると言うこと?それなかなか難しいですよね?」
東国原「難しいですよね。社則みたいなもんで、ですからー、ですから、あの、総選挙を、の前に総裁を行わなければ、ですね、あれを出る可能性はありますですよね」
黒岩「二つの選択肢をおっしゃった後の方?国会議員になってから、この総裁になる。こちらの方が条件としては可能性あるっていうことですよね」
東国原「そうですね。それから総裁出れますよね。それもう一つ、僕はあの注文していたのがですはね、これは表に出ていないですけども、総裁選の形を、もう、お変えになったらどうですかってたらね、あの、党員全員に会員費を払ってですね、党員全員に党員費が払っている全百数万人いらっしゃいますね。あの方々のゼンイーン(全員)を選挙にしたらどうですかと。それで推薦人20人とかを、ちょっと、あのー、ハードルを下げて10人とか、それぐらいにして、開かれた選挙を国民のみなさんに開く、開かれた選挙にされてはどうですかってことを、あの申し上げました」
ハードルを下げて推薦人を10人にして、国会議員の身分があるなしに関係なしに党員費を払っている党員全員に総裁選出馬の資格を与える。討論会を開くことでそれぞれの政策の中身を知ることができるだろうが、一地方自治体の指揮官を選ぶのではなく、また国会議員という兵隊を選ぶのでもなく、国内にとどまらず、国際間にまで及ぶ複雑多岐な利害調整の任を負う一国の指揮官を選ぶ以上、それ相応のリーダーシップまで見極めなければならない。リーダーシップは多種多様な経験や試練から生まれる能力であろう。ボーイスカウトでよりよくリーダーシップを発揮し得たとしても、一国の総理大臣としてよりよくリーダーシップを発揮できる保証とはならない。
東国原の提案は一見過激な改革に見えるが、総裁の椅子要求が逆風が吹いている窮状下の自民党の足元を見ただけのことで、それと同じく合理性を備えているとは言い難い。
東国原のこの論理を合理性を備えた正当性あるものとするなら、25歳以上とか30歳以上とかの被選挙権のハードルを下げて、供託金も取らず、党員費ではなく税金を払っている国民のすべてを国会議員として立候補する資格を与えて、それを以て「開かれた選挙にされてはどうですか」という論理も成り立つことになる。
東国原の今ある県知事としての人気を自分でつくり上げたと過信しているようだが、テレビがつくり上げた人気であろう。宮崎のセールスマンを自負しているようだが、テレビが追っかけ騒ぐことによって宣伝効果を生じせしめているマンゴーその他の宮崎特産品の東国原共々売り出したセールス効果に過ぎないはずだ。言ってみればテレビが勝手に番組制作してくれているテレビショッピングみたいなものであろう。
黒岩「それもすぐにはできないということですよね」
東国原「そうですよ。党則を変えなきゃいけないですね」
黒岩は先ずは実現可能性を問うべきを、実現可能性の上に立って、将来的可能性とし、東国原も同じ文脈で答えている。
黒岩「時間がかかりますね、そうすると。やっぱり、東国原さんの話を聞いていると、先ずは国政に出ると、国会議員になると、先ず総裁になるための条件だと、こういうことですよね」
東国原「第一ハードルですよね。第二ハードルが20人の推薦人が集まるということですよね」
黒岩「だとすると、国会議員になる?と言うことは、その、ま、総裁選出馬の条件、環境を整えるということの、何かじゃあ、何か約束、口約束みたいなものが、あれば、大丈夫だと言うことですか?」
東「まあ、あの、口約束でもあり、ありますし、一筆でも書いていただければ」
小池(笑う)「それじゃあ、どうしたことを書けばいいんでしょう?」
東「環境を整えますとか」
黒「ホーホー、ホー、つまり、国会議員20人の推薦、例えばじゃあ、ええー、古賀さんが東国原さんに口説いたと。古賀さんが分かった、東国原君が国会議員になったら、僕は20人必ず集めてあげるから。そういう話を約束してくれたらば、これが条件が整ったとわけとするんですね?」
東「まあ、ぶっちゃけそうですね」
小池「言うだけでいいんですか、古賀さんが」
黒岩「そういうことなんですか」
東「でも、約束を守っていただかないとですね。それは約束ですから」
少なくとも、古賀を信用できない存在、約束を破りかねない存在と看做している。信用していないにも関わらず、総理の椅子を求めたとき、古賀は天使の顔となったと矛盾した印象を語っている。
黒岩「ハー、ハー。そういうことは、もう、東国原さん、国政に出ると宣言したようなもんですか?」
東「いや、違いますよ。ですから、二つの条件が揃わないと、先ずマニフェストを、100%飲んでいただかないと。それを実行するため、責任あると。ここですよ。マニフェストなんですよ。地方分権なんですよ。全国知事会が纏めた、あの9項目をすべて載せてくれないと」
7月3日の「J-CAST」記事が次のように伝えている。
〈 知事は09年7月2日の記者会見で、自民党に突き付けた「次期総裁候補にする」と、「全国知事会マニフェストを自民党の公約に完全導入する」について、記者からどれくらい自民党は前向きなのかと問われた。
マニフェストについては
「どこまで前向きかはわかりませんよ。(自民党の)許容範囲というものがあるでしょうから、100%とはいいませんけど、90%、80%以上はないと(国政への転身はない)」
と答えた。それまでマニフェストは、一字一句たがわず自民党のパーティーマニフェストに盛り込むことを条件にしていただけに、記者の間に驚きが広がった。〉と、〈出馬条件下げたのは「バーゲンセール」か「手打ち」か〉と揶揄している。
同じ日の「毎日jp」記事も、〈これまで「一言一句漏らさず」としていた条件を自ら引き下げた形で、「国政転身ありきの安売りか」と冷めた見方も出ている。〉と批判している。
宮崎のセールスマンだから、「バーゲンセール」も「手打ち」も「安売り」もするだろうが、人気を下げる要因となりかねないマスコミ扱いの危険因子に関しては敏感に自己保身が働くからだろうか、最初の「100%」条件にハードルを戻している。
黒岩「それは可能性高いでしょ」
東「これはですよ、100%載せてくれるかどうか、ちょっと分からないですよ。まだ(自民党の)マニフェストの作成が進んでおりませんですね」
黒岩「東国原さんの人気をやっぱり何としても借りたいからすれば、自民党からすれば、それは低いハードルじゃないじゃないですかね」
黒岩はマニフェストに入れる入れないかのみ形式を問い、内容を問わない。内容価値を問わない。
東「人気ないですよ。そんなに言われる程」
黒岩「小池さんはどうですか。東国原さん、自民党の候補に出るって感じですよね」
小池「私はね、東国原さんが偉いと思うのは、マンゴーを売っていたのがですね、政策をガーンと売り出しているということで、まさに、あの、これからマニフェストをですね、しっかり、つまり、党としての商品、こういうものをですよーということをですね、国民のみなさんにお示しをしな、け、ければならない、ここの中に入れろと、ということ。これは私はもうとてもいいタイミングでですね、おっしゃってるし、まあ、やっぱりね、地方分権というのは、今しなければ、日本と言う国がですね、これから、まあ、色んな試練もあるんでしょう。文明そのものも正面に立っているわけですから。
だから、国がやるべきことっていうのは、やっぱり国防、外交それから、まあ、財政とか、金融、それから世界的な、国際的なインフラを整える。あとは北海道と沖縄と同じようにですね、霞ヶ関が動かそうというのは、土台無理なんだろうと、思うんですね。だから、私はあの、あの、東国原さんが身体を張って、それをするっていうのは評価しますね、ええ」
しかし、「霞ヶ関が動かそうというのは、土台無理なんだろうと思う」ことを自民党の協力を得て、やり続けていた。小池はその仲間の一人に位置していた。
「地方分権というのは、今しなければ、日本と言う国がですね」どうなると言いたかったのか、述べずじまいで、「これから、まあ、色んな試練もあるんでしょう。文明そのものも正面に立っているわけですから」と意味不明の結論で終えている。
大体が「地方分権というのは、今しなければ、日本と言う国がですね」と言う資格は自民党議員の誰一人として持ってはいない。地方分権の必要性は見るべき地方分権制度の実現を怠ってきた自民党政治に対するアンチテーゼであり、改革要求として存在している問題だからだからである。
小沢一郎前民主党代表は自らが発表した「政策とオピニオン」で「1.分権国家の樹立」に関して次のように述べている。
〈 明治以来の中央集権制度を抜本的に改め、「地方分権国家」を樹立する。中央政府は、外交、防衛、危機管理、治安、基礎的社会保障、基礎的教育、食料自給、食品安全、エネルギー確保、通貨、国家的大規模プロジェクトなどに限定し、その他の行政はすべて地方自治体が行う制度に改める。
また、中央からの個別補助金は全廃し、すべて自主財源として地方自治体に一括交付する。それにより、真の地方自治を実現し、さらに中央・地方とも人件費と補助金にかかわる経費を大幅に削減して、財政の健全化にも資する。(中略)
3.基礎的自治体の整備
「分権国家」を担う母体として、全国の市町村を300程度の基礎的自治体に集約する。都道府県は将来的に地方自治体から外し、最終的には国と基礎的自治体による二層制を目指す。〉云々――
要するに「明治以来の中央集権制」を踏襲した自民党政治が、踏襲したゆえに中央集権制と相反する価値制度として存在する地方分権への転換はカエルが空を飛ぶようなあり得ない自己実現性となって立ちはだかり、現在も続いている地方分権の未だ見ない実現であり、そのことを反面教師とした政策提起としてある現在の地方分権意識の高まりであり、言ってみれば、地方分権とは未だ尾を引いている中央集権制からの解き放ちそのものを言うはずである。
ということは、「明治以来の中央集権制」を踏襲し、中央集権制をどっぷりと体質化した自民党政治に求めて解決する地方分権ではないことになる。だからこそ、現在も地方分権を叫ばなければならない状況下に閉じ込められているということだろう。
それを小池百合子は狡猾にも自民党の責任を棚に上げて、霞ヶ関にのみ責任を負わせようとしている。「国がやるべきことっていうのは」と言いながら、自民党政治はそのような国の形に持っていくことに何一つ貢献できないまま現在に至っている。
吉田恵アナ「不思議な疑問に思ってることあるんですけどねえ、元々、霞ヶ関の解体や地方分権、っていうふうに、まあ、今の政治を根本、抜本的に変えようとしていたのは、民主党であって、東国原さんの、その考え方と、非常に民主党の方が近いように思うのですが、なぜ自民党なんですか?」
吉田の「今の政治を根本、抜本的に変えようとしていたのは、民主党であって」という認識は自民党が中央集権体質を抱えた党だから、思い巡らさなければならない当然の考え方であろう。東国原にはその認識がない。
東「まあ、そうですね。あのー、僕らは、僕らの就任してからの国と地方のですね、この制度ですね、国から縛られていると、ですね。非常にキュークツ(窮屈)感を持っていました。で、いつかは、この今のままじゃあ、あの、国の形を、あれ、あの、変えないと、あの、国全体の地方の疲弊や衰微・衰退は、ああー、止まらないと思ったんですね。
で、どの時点で、じゃあ、分権というものを突きつけるかと、つまりこの分権と言うものは霞ヶ関の大きさを3分の2から半分ぐらいに規模縮小するということですからね。で、分権、なぜ分権かと言うとですね、地方の財政を預かる身から、ちょっと、ちょっとだけ言わせていただきますけれども、あと、3~4年で地方はですね、予算を組めなくなる自治体が多くなるんですよ。これ、あの、夕張みたいにですね、あの、倒産する、じゃない、破綻する、財政破綻する自治体が、もう目の前に、何十自治体というですね、あるんです。
で、これはですね、財政なんていうのは、地方も一生懸命財政カットをしましてですね、行財政に取り組んできました。でも、それでは限界なんですよ。財政的にですね。国から財政とか権限を、あるいは人間を、十分に移譲していただいて、そして、地方で決められることは地方で決める。
先程小池さんがおっしゃったように、医療・福祉・保険とかですね、住民サービスとか、そういったもの地方で、地方実情に合った、ですね、意識変革をして貰いたい」
東国原の「国から縛られている」という認識にしても、自民党が中央集権制度を採っている政権党である以上、正しい認識と言えるが、地方分権を阻んでいる主要因が自民党が自らの統治システムとしているそのような中央集権制度そのものであり、敵はそういった中央集権制に立った自民党そのものであるという認識は持てずにいる。お笑い系の人気はあっても、自らの認識を合理的に働かす力はないらしい。
吉田アナの、東国原の地方分権論が民主党の考え方と近いが、「なぜ自民党なんですか?」という問いに答えていないなと思っていたら、黒岩がそのことを問い質した。
黒岩「それが、それは分かる。十分に分かる。それがなぜ民主党じゃなくて、自民党なんですか」
東「ハハイ、これから説明します。で、それで、県の知事会で活動してきました。来ましたですね。民主党さんは最初、300自治体とおっしゃってたんです。今ちょっと変えられたかどうか分かりませんけれども、その300自治体はあり得ないです。国と300自治、基礎地方自治体の理想というのは、宮崎で言ったら、3分割っていうことなんですから、30万人規模のですね、その政令指定都市の権限を与えるっていうのは、これはもうー、ちょっと現実無理かなあと。合併、市町村合併で今1800になっているんです。300、300が1800になったんですよ。この合併――だけで、大変だった。地方ですね」
黒岩「民主党が今出ている地方分権案が、やっぱりこれは納得できない」
東「最初、それだったんですよ」
黒岩「基礎自治体、これ300ぐらいになった」
東「それがちょっと変わってきてるんですよ。ずうっとこらえていたんで、こらえたんで、これはいかんだろうなと、思っていた矢先に、自民党さんの方からお話を戴いたので、これはチャンスだと、じゃあ、全国知事会がずうっと10年間言い続けてきた分権の形?これを飲んでくれと」
「全国知事会がずうっと10年間言い続けてきた」ことの裏を返せば、自民党政治では10年経過しても実現できなかった地方分権であることを意味しているが、東国原には理解する能力を持ち合わせていないらしい。
このことは橋下大阪府知事やその他の知事・市長が地方分権政策に限って即座に自民党支持を表明しないことでも証明できる東国原の無能性であろう。
また「自民党さんの方からお話を戴いた」と言っているが、東国原はこれまでも「民主党ではなく、なぜ自民党なのか」の問いに、「最初にオファーがあったのは自民党だから」とか、「最初に話があったのは自民党である」とか、接触の後先を決定要因としていたが、6月28日の「毎日jp」記事によると、〈最初に自民党への接近を図ったのは、実は東国原氏だった。〉と内情を暴露している。
記事によると、古賀との宮崎県庁での会談で立ち会った、親交のあった町村派の伊達忠一参院議員に今年の1月に「自民党を応援したい」と申し出て、4月には〈伊達氏の仲介で、東国原氏と森喜朗元首相、町村信孝前官房長官らとの会談が都内で極秘に行われ、国政転出の可能性も話し合われた。〉としている。
フィクサーの森が動いていたとなると、自民党政権放棄の危機感に全身見舞われていることだろうから、相当に真実味のある情報に思える。東国原自体が自民党と同じ中央集権型の体質をしていることからの同類相呼ぶの自民党選択だと疑えないことはない。
「日本は中央集権国家」の認識なき東国原の地方分権論/そのウソと矛盾(2)に続く
7月1日、高千穂町で開かれた県民フォーラムでは次のような発言をしたと7月2日の「asahi.com」が伝えている。
「一介の(県)知事がいきなり大臣とか首相候補に指名されるなんてありえない。でも歴史を変えなくてはならない」
「国政に行きたいのではない。国を変えたい、制度を変えたい」
「たった一人の反乱だと思っている。5年後10年後、こういうチャンスが来るかはわからない」
「民主党は次期代表に私を選ばないでしょう。自民党総裁になる方が可能性は民主党(代表)より高い」
参加者「(衆院選で)自民党が負ける可能性も言われているなかで、なんで自民党なのか」
「良い質問ですね。ぼくが(自民党に)行ったら負けません。負けさせません」
任期途中で国政に転じた場合の後継者問題について、
「責任を持って議会、職員や県民の皆様のご意見をうかがって、私の考え、やり方を一番分かる、一番継承出来る方にお願いする。それがぼくの責任」
「1週間に1回は(宮崎に)帰ってきて『これはこのようにして』と口出しする。事実上の知事はぼくだから、次に知事になる方は傀儡(かいらい)政権ですね」
傀儡政権は上が下を従わせ、下が上に従う権威主義的指揮命令系統を成り立たせることによって可能となる政治体制であって、中央集権と双子の血を体質とする。いわば自民党とごく近い体質を持っていることからの自民党であって、その体質からは程遠い民主党ではないということなのだろう。
だから、自民党の中央集権体質が拒んできたことによって生じた今の「地方分権の必要性」であることが無視できる。
大体が東京のテレビに出たい、時間をかけずに出ることができる距離にある東京の議員宿舎等に住みたいがために国会議員になりたがっているのではないかと疑っていた。少なくとも宮崎県知事であるとき以上にテレビに出る頻度は上がるに違いない。テレビに出て、周囲を笑わせ、独壇場を演じる。かつてのお笑いタレントの本領を遺憾なく発揮するに違いない。
黒岩「民主党のなんか、飲む用意が出てきたわけですか?」
東「いや、民主党さんからのお話を戴いて――、いないので」
条件はあくまでも話を戴くか戴かないかとしている。政策の違い、あるいは実現させる政治体質の有無等を問題としていない。さすが人気者だけのことはある。
黒岩「じゃあ、聞いてみましょう。菅さん、どうですか。東国原さんの言っていることで、民主党として受けられることじゃないんですか?」
菅「先程、あの、小池さんが言われたような考え方は、あの、地方分権、ことに関しては全く同感です。外交とか防衛とかですね、つまり通貨とか、あの年金の基準なことは国が関わるべきだと。それ以外はすべて自治体に任せる。明治維新の逆方向の分権をやる。つまり江戸幕府がやっていた外交、防衛をやるけれども、長州や薩摩藩がやっていた、そういうものは全部県に任す。
それは年来の私たちの主張なんですね。で、私はですね、あの、昨年の道路特定財源の、財源のときに、結局国土交通省が、それこそ宮崎県の(聞き取れない。国土交通省が費用対効果が認められないとして工事を一時凍結し、5日に金子国土交通相が視察した、と言うことは凍結解除を前以て既定事実とした宮崎県の国道220号青島~日南線のことを言っているのか。)、あるいはその古賀誠さんの(なぜ東国原さんが言っていた、あの悪人顔のと言わなかったのだろうか。)ところの“誠橋”から、全部事実上コントロールしているわけですよ。
ですから、日本は牢固な集権国家なんですよ。官僚集権国家なんですよ。ですから、この霞ヶ関の官僚集権体制を、壊せる政党でなければダメなんですよ。ただ残念なのは、自民党は、例えば古賀さんの例で言えば、あんたんとこに予算をつけてやるから、俺んとこには橋を造ってくれよというですね、つまり、政治を官僚に任せて、陳情をやるのが、自分たちの仕事だと。
ですから、そういうですね、古賀さんが、まあ、東国原さんのところに行かてれるっていうのは、私から言うと、皮肉に思えるんですよ」
なぜ菅は小池の言ったことは全く同感などと言ったのだろうか。小池やその他自民党が言っていることは、自民党が政策としてできていない地方分権を民主党が行うべく言い出したことで、選挙への悪影響を避けるために声を揃えているだけのことではないのかと言ってやらなかったのだろうか。
小池「でも、でも――」
菅「ですから、ですからですね、私たち民主党の考え方、別にその東国原さんに私たちが別に声をかけていませんけれども、政策の中身で反論するって言われるならば、少なくともこれまで自民党さん、30年、40年、政権を持ってて、何か分権ができたと、私もたくさん見てきました。例えば、委任事務と言うものですね、なくせと言うのが、自社さ政権のとき、私が政策調査会長で盛り込みました。その機関委任事務はなくなりましたよ。新たな権限をたくさんつくって、結局のところ、分権はこの数十年、全く進んでいません」
地方分権は中央集権体制とは相反する価値組織として成り立つ制度だから、中央集権制を政治体制としている自民党政治には実現不可能な政策だといった文脈で説明すれば済むし、そのような自民党に地方分権を求める東国原の姿勢の矛盾を突いて、岡田克也同様に「論評するに値しない」と突き放すべきを、「別にその東国原さんに私たちが別に声をかけていませんけれども」などと、声をかけていないことがまずいことであるよな余分なことを言っている。
黒岩「と言うことは、東国原さん、この話を聞いていると、民主党は東国原さんの政策的な問題と何の問題もないと。民主党に来てくれよと、いう話にいってるけれど、何で自民党に――」
民主党は東国原に一言も「民主党に来てくれよ」と言っていないのに、日本のマスコミだからだろう、事実を無視して展開を面白くすべく策する能力はさすがである。
東「自民党さんのお誘いが早かったと、これは単純な問題なんですよ」
黒岩「この後きたら、どうしますか」
東「えっ?」
黒岩「民主党、このあときたら、どうしますか?」
東「これ、政策見てですね、自民党さんが丸々、そうですね、私が提案したマニフェストを飲んでくれるって言うなら、もうしょうがないですね。この二つの条件を飲んでくれるって言うなら、こっちの方が先だったもんですから。これは実現する方向に持っていかないと、そういう話ですね」
誘いの後先を条件としていながら、民主党に関しては「政策見てですね」と決定基準を平気で変えている。政策を見るまでもない、政策で自民党に提案したのではない、先に誘いがあったからだと、あくまでも後先の条件を貫くのが一貫した態度と言うものだろうが、東国原にはそれがない。
公務員改革も天下り問題も満足に解決を見ない、中央集権体制を霞ヶ関共々自らの体質としている自民党である、いくら東国原が総理大臣となったとしても、「実現する方向に持って」いくことなどできないに違いない。
黒岩「でも、あれですね、小池さんはもうなんか、自民党で出る感じですね?」
小池「いや、あの、やはり、応援団は一人でも、また、パワフルですからね、そして方向性は私は合っていると思いますよ。あの道州制という形を打ち出し、そしてこれをマニフェストにしっかりと盛り込むと、いうことをして日本を動かしていく。
それからまあ、あのー、よく、こう、あの、官僚政治対、ですね、本来立法府、がですね、もっと立法できる形にしなければなならないわけで、それを霞ヶ関が丸投げしているようでは、日本は変わらないわけですね。
でも、まあ、民主党さんはあの100人、あの副大臣とか政務官を入れるっていう、その話をですね、やっておられるけれども、私はね、100人、バランバランに入っても、却って、あれ、意味ないと思うんでうすね。だから、選択と集中でですね、例えば、年金問題、それから、この地方分権問題?100人と言うんだったら、この選択と集中、そこに集中しまして、そして50人、50人ぐらいに入れなければ、私はダメだと思います」
「霞ヶ関が丸投げしている」のは自民党であり、その結果としてある「日本は変わらない」風景であること、その責任の一端を自民党議員として負っていることには何ら気づいていない幸せ者を小池百合子は何様顔に演じている。
菅「今の政治そのものですよ。自民党政権そのものが副大臣、政務官、70人ぐらい、残念ながら、これはチームになっていません。私はイギリスを見てきましたけれども、イギリスは100人以上のメンバーが入っています。
で、民主党の中ではですね、ま、色々と提案してるんですけど、大臣、副大臣、政務官、少なくとも週1回は政務三役会議をつくってですね、そこに官僚を、もし必要なら呼んで、その省庁の方針を決めていく。
それから、えー、官邸にイギリスはポリシー・コミッティー(?よく聞き取れない。)っていうのを抱えています。24人のスタッフで、半分はポリティカルアポインティ、政治任用です。ですから、うちの党で言えば、民間人とか党の職員で優秀な人間を官邸に入れてですね、そこが全部調査します。
つまり、今まさに小池さんが言われたことを、私たちは実現しようとしているんです。しかし自民党は現実に副大臣とか、まあ、大臣をやられたからご存知でしょうが、政務間とかがあっても、チームとして機能していないんですね。失敗例をですね、つくっている立場の人がですね、あの、できない、できないと言っている。それは自分たちができなかったということですね」
自民党を否定すると同時に小池をも否定しなければならないにも関わらず、「小池さんが言われたことを」と肯定化するすることで、自民党が成し得ていないことの責任を免除している。
黒岩「どういう政策を目指すかということを議論していると、自民党も民主党もやりたいことについては、近いような感じがするんですね。その中で例えば、ちょっとこれ、聞きたいことがあるのですが――」
言っていることは近くても、実現可能性の基準を政治体質、政治姿勢、誰を対象とした利害代弁者なのか、利害擁護者なのかなどに置いて判断しなければならない。国民のためと言いながら、大企業の利害のみを代弁していたなら、企業の利益は従業員に還元されず、個人消費が伸びない結果、生活の向上が実感できなかったといった最近の出来事が再び起きる。それぞれが重要な実現可能性の判断基準であろう。
東「あの、そうなんです。今回のですね、西松問題、ですね。あの献金問題も、僕はね、与党さんも野党さんも、五十歩百歩というか、どっちもだと思うですよ。国会議員の全体、国政全体に対する国民のみなさんの不信感、とか不満感、今あるんじゃないですか。で、変革なんですね。変えて欲しいという、国民のみなさん、思ってるんです。ですから、政権交代で変えるか。自民党自体を変えるのか、それをきちんと示すか、つまり、私を総裁候補としてですね、あの、招き入れるって、これ歴史をないわけですから。
そしてまた、あのマニフェストを全部入れるなんて、自民党さんにはハードルが高すぎると思うですね。でも、それを仮に入れたらですね、自民党さんが政府与党として、あの大政党が変わったと、それを宣言するようなもんですから、それは国民にとっては、政権交代でも、自民党が変わる。これ、どっちを選ぶかと言うことなんです」
言っていることが矛盾だらけである。黒岩に自民党も民主党も言っていることが近いと言われて、選択の条件を誘いの後先とした後ろめたさから解放されたからか、急に元気づいて、献金問題に置き換えて両党の近さを喩える矛盾。また公衆の面前で「ぼくが(自民党に)行ったら負けません。負けさせません」と宣言しておきながら、「政権交代でも、自民党が変わる」と敗北を言う矛盾。
黒岩「そういうね、外からの変革っていうことに対して、東国原さんが情熱を示しているのが分かる。そんな中で大阪の橋下さん、知事も同じような思いでいたんだろうと我々は見ていた。連携するのかなーと、ずっと見ていたら、昨日、注目すべき話がありましたね。昨日、橋本知事、中田市長、と会談をしてですね、そのあと、これ、東国原さんが、えーと、自民党とうまくいかなかったらと言って、今さら首長連合に参加を求めようとは思わない。本質的に東国原さんと相容れないんだと、いう話をしましたけど、これどう受け止めているのですか?」
東「これはですね。地方分権では、彼とはイッショー(一緒)なんですよ。考え方、ですから、まあ、どういう形になろうが、方法論は違えども、地方分権をしないと、地方の疲弊は止まらないので、そこで意思統一されてるんです。
で、この場合ですね、仮にですよ、あの橋下さんと違う方法で国に攻め入っても、どっちが勝っても地方分権って行われるんですね、ハイ」
黒岩「菅さん、これ、この橋下さん、中田さん、政党をね、選んで決めようと。同じ政党を決めようと、選ぶと、これだって元々中田さん、民主党にお世話になっている。橋本さんが民主党の方に来るっていう感じでしょうか」
菅「まあ、正確にはあの、会派を示していた方なんですが、まあ、先程言われましたように、私もながーい間、ですね、あの、この分権問題を見てきました。まさに細川政権の細川さんは、熊本の知事を2期ちゃんと務められて、私がその入った魁(さきがけ)は武村さんも、確か3期ですか、滋賀県知事を務め上げました。ですから、私は一般的に地方の知事、首長経験者が国政に出てこられることは、一般的には歓迎なんですよ。
ただ、そのポイントははやり政権党がですね、党として本当にその霞ヶ関の官僚的な政治運用を変えられるかです。で、私は、まあ、色々なことを行ってますよ。色々なポイントがあるんですが、象徴がやはり9年度の道路特定財源だと思うですよ。私、宮崎も行きました。で、確かにですね、宮崎のために国土交通省が(?)分からないわけでもないけども、少なくとも5兆円の道路財源、役所があれですよ、事実上の俗にカネを配るというのを決めているんです。そういう構造を壊そうとする政党なんですよ(意味不明)。その上に乗っかってですね、俺んところに持ってこいという政党なのが、それは先とか後とかじゃなくて、体質から見たって自民党にはできないことを私の目から30年見てた」
「体質から見たって自民党にはできない」と言うなら、その「体質」こそが地方分権を拒んできた本質的な問題であることを端的に説明すべきだが、話を広げ過ぎて、却って言いたいことが散漫になっている。
小池「民主党の方々も、陳情に行ってらっしゃる――じゃないですか?ええ、先程の西松の話もありましたけれども、これなんてやっぱり東国原さんで、あの、国民の感覚、とてもよく分かってらして、何とかしてくれと、そこに僕が身を投じるんだという決意だと、私はそう受け止めてるんですね。
だから、むしろ、あの、知事連合の方と首長連合の方々?私はこうやって他から声がでてくることを、それはですね、むしろ、プラスと把えて、そしてそれを動かしていくよと、そういう、そういう国民の声が私は聞こえるんだけどねえ」
「民主党の方々も、陳情に行ってらっしゃる」――どこが悪いと言うのか。菅は「政治を官僚に任せて、陳情をやる」――いわば陳情専門職と化していると言っているのであって、官僚任せではない政治を専らとした上に口利きとならない陳情は問題ないはずである。
小池は悔し紛れにお門違いの批判を持ってきたに過ぎない。陳情に対して国会議員が特定利益を図る意味合いの口利きを図ることがあったという指摘なら分かる。中央集権体質の自民党では見るべき地方分権は果たし得ないという認識がないから、東国原の個人的人気のみに頼る意識が働くことになる。
地方分権とは政治権力を中央に独占・集中させている中央集権体制を壊すことによって可能となる政治権力の地方への分散を言うのだから、小池たち自民党議員が自分たちの政治体制が中央集権体質だという自覚を持たない以上、実現不可能な地方分権と言える。
黒岩「あなたの話を聞いていると、東国原さんは自民党の方にいっている。今度はじゃあ、橋本さん、民主党の方に取り込んでいこうと。何かそこでこう分断して、地方分権と言うことで、一つのキッカケになって動いていくという伏線がある気がしましたが――」
日本的マスコミの野次馬根性の見事な発揮。外野席でワイワイ騒いで、騒ぎを大きくしようとする。
菅「黒岩さんたちはそういう見るのが好きなんですが、私のように多少長いこと分権論をやっていると、構造なんですから、国の形そのものなんですからね、いいですか、集権国家じゃないですよ」
黒岩「政策を実現させるのが、一番大事なことですよね」
菅「違うんですよ。実現するには構造を変えないと、実現できないんです。選挙一体のマニフェストですね、変わるんだったら、例えば小泉さんの三位一体で改革は何だったのかと。まさに、それで地方は疲弊してるんじゃないですか。自民党をぶっ壊すと言ったのは誰だったんですかね。小泉さんじゃないですか。今の東国原さんが、じゃあ自民党です、つくり変える。つまり小泉さんのいったことの焼き直し以上のことをして、私から見るとですよ、つまり国の構造を変えるっていうのは、その、自民党の中で変えることができないというのがホンネですからね。
数年間、数十年間の結果、私たちが政権交代をしないと、霞ヶ関の今の主流の政治は変えられないと、そのプログラムのきちんとですね、示してきている。
ですから、そこを考えていただければ、別にこちらから声をかけないというよりも、政策的に見れば、どちらが分権かと言うことに関して、本当にやって、やろうとしている考えをしているか、私は国民のみなさんにははっきりと分かると思いますね」
小池「分権の部分は、私はあの、国家として考えれない。むしろ、この今回の臓器問題であるとか、それから金融庁をつくるとき、えー、のようにですね、ここは私は両方がチエを出して、ですね、お互いに対立型、対決型でですね、時間ばかり浪費するということは、基本的に許されないと思うんですね。と同時に、この分権も大事ですけども、安全保障ですよ。そこの部分がなくしてですね、見えないで、・・・・」
黒岩「その話、次のコーナーでやります」
小池「北朝鮮が喜ぶだけですよ」
小池は形勢不利と見ると、地方分権とは直接関係のない臓器問題や金融庁設置問題を取り上げて、チエを出し合おうと協調姿勢を求める。政界遊泳術が長けているだけあって、巧みな手管である。その癖、地方分権を論じるコーナーでありながら、民主党の弱点と見ている安全保障の問題まで持ち出して、形勢を自己に有利に運ぼうとする権謀術数を見せる。
何を根拠に民主党の外交政策が「北朝鮮が喜ぶだけですよ」なのだろうか。「第7艦隊だけでいい」と言った小沢前代表の言葉を根拠としているのだろか。北朝鮮問題は日本だけの問題ではない。北朝鮮による先制攻撃なら、中国・ロシアは黙って見守るしかなく、アメリカは安心して本土や国外の基地から安心して大陸弾道弾、その他のミサイルを北朝鮮に撃ち込むことができるだろう。
本人なりの根拠があったとしても、詳しい議論もなしに決めつけるのは自己の形勢のみを考えた為にする言い分で、狡賢いとしか言いようがない。
小泉以来、「圧力と対話」と散々に言いながら、拉致問題を何一つ発展させることができなかった自民党政治の安全保障をこそ、問うべきだろう。軍事力を展開させることだけが安全保障ではない。外交能力がときには軍事力以上により重要な安全保障となり得る場合がある。
このことは戦前の日独伊三国同盟や日ソ不可侵条約、ポツダム宣言受託に関わる対外交渉等々が証明している安全保障に於ける外交の重要性であろう。軍事力でも外交能力でも日本は米国よりも劣っていたことは誰もが認める一般的事実であろう。