安倍晋三の靖国参拝と真榊・玉串料奉納でホンネを隠して奉納者名を総理と総裁で使い分けるカメレオン的対応

2015-08-18 09:04:10 | 政治


 カメロンは外敵から自身を守るために自身の体色を周囲の色に合わせて変化させ、その色に紛れ込ませて自身を外敵から見えにくくすると言われている。このような生態から、個の自分を守ろうとする節操を持たずに周囲の状況や相手の人間の望むことに合わせて態度を変えて自分を守ろうとする人間をカメレオン的人間という。

 実際にはカメレオンが変色する要素は主に興奮するときとか、交尾を拒否するときとか、生理的・心理的要因が大きいそうだ。

 人間も自身の感情を相手に理解させるために顔の表情を険しくしたり、和らげたり、態度を素っ気なくしたり、突っ慳貪にしたり、ときには声の調子を苛つかせたり、逆に阿(おも)ねて作り笑いの表情を浮かべたりするから、カメレオンとさして変わらない。

 いずれにしてもカメレオンの実際の生態とは異なって、周囲の状況に応じてホンネの自分を一時脇に置き、ホンネとは違う自分を演じて自分を守ることができる人間をカメレオン的人間ということになっている。

 安倍晋三は8月15日の日本が戦争に負けた敗戦の日、東京・九段の靖国神社に参拝せずに最側近の自民党総裁特別補佐、安倍晋三と同様の硬直した単細胞人間、の萩生田光一を代理に仕立てて玉串料を奉納、奉納者を「自民党総裁 安倍晋三」と記帳したという。

 萩生田光一「自民党総裁の安倍総理大臣に代わって、安倍総理大臣の思いを添えて参拝した。安倍総理大臣としては、いろいろな思いがありながら、総合的に判断して、きょうの参拝は見送ったのだろうが、『ご英霊に対する感謝の気持ち、靖国への思いは変わらない』と話していました」(NHK NEWS WEB

 萩生田は「自民党総裁 安倍晋三」と記帳しながら、内心、「気持は日本国総理大臣安倍晋三と記帳しています。奉納者はあくまでも日本国総理大臣安倍晋三です」と誓っていたに違いない。

 安倍晋三は中韓やアメリカがその内容を注目する中、8月14日に「70年談話」を発表した。それが反省したフリをし、謝罪したフリをした談話ではあっても、発表したばかりで靖国神社を参拝したなら、それがフリに過ぎないことを自分からあからさまに暴露することになって中韓を刺激することになるばかりか、アメリカに失望を与えることにもなって、それを避けるために参拝したい自分のホンネを脇に一時置いて、ホンネとは異なる自分を演じるためにも奉納者を「自民党総裁 安倍晋三」名とした玉串奉納といったところなのだろう。

 そもそもからして安倍晋三は首相として在職中の靖国神社との関わりは、春季・秋季例大祭は真榊奉納とし、奉納者名を「内閣総理大臣 安倍晋三」と記帳、8月15日の敗戦の日は玉串料奉納とし、奉納者名を「自民党総裁 安倍晋三」と記帳、使い分けている。

 既にこのとこと自体がホンネの自分を一時脇に置き、ホンネとは異なる自分を演じて自分を守るカメレオン的対応であろう。

 真榊(神前に供えるサカキの鉢植え)を靖国神社に奉納できるのは1年で最も重要な祭事である春季・秋季の例大祭のみだと、「The Huffington Post」が伝えていた。

 だとすると、玉串料は真榊よりも格が下ということになる。靖国神社側にとっての最重要な祭事は春季・秋季の例大祭であり、8月15日はそれ以下であったとしても、安倍晋三ら右翼の国家主義者にとっては8月15日は第2次世界大戦の日本の戦死者を悼む日として最重要の時空としているはずだ。

 その証拠として、「Wikipedia」に、〈2001年の自民党総裁選で「私が首相になったら毎年8月15日に靖国神社をいかなる批判があろうと必ず参拝します」と公約。しかしながら、2001年から2005年までは国内外からの批判に配慮して8月15日以外の日に参拝していた。自民党総裁の任期が満了する2006年には公約通り8月15日に参拝した。なお首相就任前は厚生大臣在職時の1997年に終戦記念日に参拝している他(私的か公的かについては明言せず)、それ以前も初当選以来ほぼ毎年、終戦記念日を含む年数回の頻度で参拝してきた。退任後は2009年に参拝した。2010年の8月15日は参拝していない。〉と書いていあるが、小泉純一郎が2001年の自民党総裁選で「私が首相になったら毎年8月15日に靖国神社を如何なる批判があろうと必ず参拝します」と公約したこと、その公約に反して2001年から2005年までは国内外からの批判に配慮して8月15日以外の日に参拝せざるを得なかったことは内外が8月15日の参拝に最重要の注目を置いていると見なければならないこと、自民党総裁任期満了の2006年にやっと公約通りに8月15日の参拝を果たすことができたことなど、如何に8月15日の参拝に拘っているかによって8月15日を最重要の時空としていることを挙げることができる。

 いくら靖国神社側が真榊は最重要な祭事として春季・秋季の例大祭のみの奉納しか認めていないことから、参拝に代えて、あるいは真榊奉納に代えて玉串料しか奉納できなくても、安倍晋三ら国家主義者にとっては8月15日は最重要の時空なのだから、玉串料奉納者名を「内閣総理大臣 安倍晋三」と記帳してもいいはずだし、記帳すべきだろう。

 だが、8月15日はホンネを隠して一段格下の「自民党総裁 安倍晋三」と記帳する。

 1年しか持たなかった第1次安倍内閣のたった1回の機会の2007年は小泉時代に最悪の関係に陥った中国との関係修復のために参拝を控え、春季・秋季例大祭には奉納者を「内閣総理大臣 安倍晋三」と記帳した真榊を奉納。8月15日には奉納者名を「自民党総裁 安倍晋三」と記帳した玉串料奉納で済ませている。

 第2次安倍内閣になってからのその発足1年の日の2013年12月26日に参拝しているが、この参拝の理由を参拝後の記者との遣り取りで述べている。

 安倍晋三「私は『第1次安倍政権の任期中に靖国神社に参拝できなかったことは痛恨の極みだ』と、このように申し上げて参りました。それは総裁選に於いても、あるいは衆議院選挙のときに於いても、そう述べて参りました。その上で私は総裁に選出をされ、そして総理大臣となったわけでございます。私はこれからもですね、私の参拝の意味について理解をして頂くための努力を重ねていきたいと思います」――

 「痛恨の極み」と悔やんだ手前、一度は参拝せざるを得なかった。だが、右翼国家主義者にとって最重要の時空であるはずの8月15日を選んだのではなく、参拝理由として納得を描きやすい第2次安倍内閣発足から1年を選んだ。

 そして今年も8月15日は談話発表の関係から回避して、玉串料奉納で済ませ、やはり談話発表の関係から、串料奉納者名を「内閣総理大臣 安倍晋三」と記帳せずに「自民党総裁 安倍晋三」と記帳しのは、ホンネの自分を一時脇に置き、ホンネとは異なる自分を演じて内外の批判から限りなく自分を守るためのカメレオン的対応だったはずだ。

 靖国神社との関わり一つ取っても、安倍晋三という右翼国家主義者のホンネとタテマエを使い分けるカメレオン的巧妙性を窺うことができる。

 安倍晋三が信用出来ない政治家の最たる一人である所以でもある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする