エンブレム審査委員代表記者会見は佐野デザイン東京五輪エンブレムを他者作品模倣を疑わせることになる

2015-08-28 07:24:47 | 政治


 8月26日、エンブレム審査委員代表を務めたグラフィックデザイナーの永井一正氏(86)が記者会見、佐野研二郎作品の2020年東京オリンピック・エンブレム原案はベルギーの劇場のロゴとは「似ていなかった」と証言したとマスコミが伝えた。

 無料だと最後まで出ていない、《五輪エンブレム当初案「劇場ロゴと似てない」 審査委員》asahi.com/2015年8月26日05時18分)と、《五輪エンブレム、原案を修正 審査委員代表が証言》47NEWS/2015/08/26 12:10 【共同通信】)の二つの記事から見てみる。      

 審査委員は他にグラフィックデザイナーの浅葉克己氏ら7人。応募104案は作者名を伏せた状態で番号だけで審査し、3案に絞った後、議論の結果、佐野研二郎の案が選ばれた。

 その後、大会組織委員会が佐野氏の案を商標登録するために世界中の商標を確認。

 永井一正氏「(原案と)似たようなものが他にあったようだ。そのため佐野さんの案は、元のイメージを崩さない範囲でパーツを一部動かすなど、組織委の依頼で何度か微修正された。

 最初の案は(類似性が指摘されている)ベルギーの劇場ロゴとは似ていなかった。盗作ではない。

 個人的には、ほかの応募案や審査の過程も公表した方がいいと思う。これまで組織委からはコメントしないように言われていたが、これ以上勘ぐられるのはよくないということで、『もう話してもらっていい』と言われていた。このエンブレムがCMなど色々な形で使われてゆけば、よさが伝わると思う」」(asahi.com

 (左側が佐野研二郎の原案に近いデザインで、微修正した結果、右側デザインになったことになる。左側デザインの黒枠は、理解しやすいようにあとから付けたもの。)


 永井一正氏が「(原案と)似たようなものが他にあったようだ」と推測で言っていることは、組織委が審査側を蚊帳の外に置いて、いわばデザインに関することだが、何の相談もなく、組織委と佐野研二郎の間で決めていったことになる。

 「47NEWS」記事は、〈永井氏によると、佐野氏の原案は「東京」の頭文字「T」を図案化したもので、ベルギーの劇場名の頭文字「L」を想起させるエンブレム右下の部分はなかった。その後、商標登録に向け大会組織委員会と佐野氏が協議し、他の商標との類似を避けるためデザインを練り直す中、最終的に「L」に似たデザインが盛り込まれたという。〉と解説している。

 だがである。佐野研二郎の原案が商標登録されている他のデザインに似ていたということは、東京オリンピックエンブレムとして最優秀作品と決まった佐野研二郎のデザインを正式に東京オリンピックエンブレムとして使うについて組織委が世界中の商標を確認し、似たデザインを発見した当時はさして問題ではなかったかもしれないが、佐野研二郎氏がスタッフがやったことだと本人の発言のみが証言となっているデザインを含めて、佐野氏の手によるデザインの幾つかが第三者のデザインと酷似していて、模倣・盗作ではないかと騒がれる事態が生じている現在、単に似ていたということだけで片付けていいものだろうか。

 なぜなら、同じ模倣・盗作を手口として生み出したデザインではなかったかと疑われても仕方がないからだ。

 サントリービール販促キャンペーン賞品のトートバッグ・デザイン30昨品のうち8昨品が第三者のデザインに酷似していて、その8作品を賞品から取り下げた問題では模倣を周囲から指摘されると、「デザイン佐野研二郎」名を売り物にしていながら、スタッフが第三者のデザインを引き写したと記者会見で公表、それで問題を一件落着とさせている。

 その後、佐野研二郎デザインによる名古屋の東山動植物園マークのコスタリカ国立博物館マークとの酷似問題が浮上。本人は模倣・盗作を否定したが、インターネット上に出回っている東山動植物園マークとコスタリカ国立博物館マークは配置を少し変えてあるだけで、各パーツは余りにも酷似していて、芸能人のよく似たそっくりさん程にも近似性が強いために本人の否定そのものを疑わせる結果となっている。

 そして佐野研二郎デザインのTシャツ、さらに現在建設中の「おおたBITO 太田市美術館・図書館」のロゴと米デザイナー、ジョシュ・ディバイン氏制作ロゴとの酷似。

 どちらも黒色の円と黒色の直線のみのデザインで、円を一つ増やしているが、横にしてある二つの円を縦にして、「BITO」の「B」を表現して、増やした円を「BITO」の最後の「O」に当てているが、両者共に黒色のみの色使いとなっていることと、黒色の線の太さがほぼ同じで、その幾何学的な使い方が似ている等の共通点は模倣・盗作を否定しきれない疑いを持たせる。

 佐野研二郎の数々のデザインがこういった経緯を辿っていることの関連性から言って、東京オリンピック・エンブレム原案が他の商標登録されているでデザインと似ていたということは同じ経緯を辿って完成させたデザインの可能性は捨て切れない。

 単に似ていたから、微修正しただけでは済まないはずだ。

 微修正した結果、ベルギーの劇場のロゴと似てしまったというのは皮肉である。

 つまりまるで呪いでもかけられたように模倣・盗作の疑惑にどこまでも付き纏われていることになっているということではないか。

 オリンピックは時折り勝利至上主義の誘惑に負けて薬物使用疑惑が浮上、メダル返上といった不名誉な出来事も起きるが、スポーツの祭典と言われている。そのスポーツの祭典に使用される「TOKYO Olympic2020」エンブレムが、薬物疑惑に付き纏われるように模倣・盗作の疑惑を引きずってもいいのだろうか。

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