安倍晋三は大日本帝国憲法に一歩近づける内容の自民党憲法改正草案を日本国憲法とするよう策略している

2016-10-20 09:53:51 | 政治

 どのような策略なのか。

 10月13日、自民党は憲法改正推進本部の会合を開き、新たに本部長に就任した元法相の保岡興治が、衆参両院の憲法審査会での論議に当たっての方針を纏め、確認し合ったと2016年10月18日付の「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。   

 確認し合った方針とは以下である。

 2012年に自民党が発表した自民党憲法改正草案は党の「公式文書」に位置づけているが、「内外から多くの意見も頂いており、考え方を整理する必要がある」こと。

 国会論議に当たって民進党が求めている党の改正草案の撤回には応じないこと。

 自民党憲法改正草案は国会に提案せず、憲法調査会で各党との議論を重ねて合意形成を図っていくこと。

 記事は保岡興治の発言を伝えている。

 保岡興治「改正草案全体を国会に出すことはないし、一部を切り取って出すことも全く考えてない。ぜひ各党に理解してもらい、静かな環境で、政局から離れて、国家の基本を議論し、一緒に頑張っていきたい」

 「静かな環境で、政局から離れて」とごくごく尤もらしいことを言っているが、国会での野党の自民党憲法改正草案に対する追及に決めてかかっている安倍晋三の答弁回避姿勢と物の見事に対応させた措置に過ぎない。

 当然、安倍晋三の指示を受けた方針なのだろう。

 2016年10月3日の衆院予算委員会で民進党の長妻昭が安倍晋三に対して自民党憲法改正草案の基本的人権に関わる新しい規定が人権をより制約する内容になっていないか問い質した。

 安倍晋三「私は総理大臣として内閣として提出をする法案については責任を持ってお答えしなければならない立場でございます。その場所場所でですね、しっかりと議論することが求められているわけでございます」

 要するに自民党憲法改正案が閣議決定されて法案として国会に提出されたなら、内閣総理大臣として個々の質問に答弁しなければならないが、現状はそこまで行っていないから、質問されても答える立場にはない、自民党案にとどまっているのだから、憲法審査会で議論してくれと要求して、長妻昭がいくら自民党憲法改正草案の条項について質問しようと、憲法審査会で議論してくれの一点張りで答弁回避の姿勢に終始した。

 つまり、本部長保岡興治の自民党憲法改正推進本部が自民党憲法改正草案は国会に提案せず、憲法調査会で各党との議論を重ねて合意形成を図っていく方針としたことは、少なくとも合意形成前は憲法改正法案として国会に提出しないことを意味することになって、その間は安倍晋三は国会で自民党憲法改正草案の条文について例えどのように質問を受けても答弁せずに済むことになる。

 それゆえにこそ、安倍晋三の答弁回避姿勢に対応させるための自民党憲法改正推進本部の決定方針と言うことができる。 

 その狙いは自公与党のみで憲法改正に必要な3分の2の勢力を衆議院で既に確保している上に今年7月の参院選で憲法改正に前向きなおおさか維新の会や日本のこころを加えると3分の2を超える勢力を確保できたため、その勢力を憲法審査会のメンバーに反映させれば、条文によっては自民党改正草案にいくら野党が反対しても全体として賛成を得ることができ、それを憲法改正法案として国会に上程した場合、国会で野党が反対する各条項の追及を受けても、安倍晋三自身は憲法調査会での賛成多数の既成事実を大義名分として前面に押し出し、その陰に隠れて具体的な答弁を回避可能とすることができる。

 「憲法調査会で賛成の意見も反対の意見も議論が尽くされ、採決を経て既に合意形成が成されているのです。合意形成されたものが法案として国会に出された。私のここでの答弁は憲法調査会での議論に重なることになります」、あるいは「繰返しになります」として、答弁を回避することができる。

 要するに安倍晋三は自民党憲法改正草案が国会に法案として出される前も出された後も野党からどのように追及を受けようとも、自身が答弁回避できるように企んでいた。

 だからまた、自民党憲法改正草案は自分が自民党総裁のときではなく、谷垣総裁時代に発表されたものだとする、一種の逃げの手を使っているのだろう。

 だが、例え谷垣総裁時代の作成であったとしても、現在も自民党の憲法改正草案と位置づけている以上、議論は憲法審査会に任せて、自身は現自民党総裁としても、自公与党の内閣を代表する総理大臣としても、各条項に対する具体的な答弁を回避するのは説明責任の放棄であり、説明責任の放棄は自民党憲法改正草案に関しての情報の国民に対する隠蔽に当たる。

 安倍晋三は説明責任を放棄し、国民に情報を隠蔽したまま自民党憲法改正草案を日本国憲法として国会で成立させようとしている。

 その自民党憲法改正草案たるや、大日本帝国憲法に一歩近づける内容となっている。安倍晋三の巧みな戦術によって、今やそれが日本国憲法となる危険な可能性が迫っている。

コメント (1)
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