河野太郎の北外相と「日本の基本的な立場について様々な遣り取りをした」は安倍晋三そっくりな自己有能性粉飾

2018-08-06 11:51:53 | 政治
 

 ASEAN外相会議が8月2日(2018年)シンガポールで開幕、8月4日閉幕した。大国日本の外相河野太郎は自身が求めている外相専用機に乗って各国を巡るが如くASEAN各国外相の間を目まぐるしく動き回って会談を重ね、様々な成果を挙げ、外相としての自己有能性を証明したようだ。

 自己有能性を自覚しているからこそ、外相専用機をおねだりできる。だが、自民党内からも安倍政権内からもそのおねだりに応えようという声が上がらないのは有能性への妬みからなのか、専用機購入に見合う有能性を認めていないからなのか、はたまた他の理由からなのだろうか。

 8月4日、朝のNHKニュースで河野太郎が8月3日夜に訪問先のシンガポールで北朝鮮のリ・ヨンホ外相と立ち話による短時間の会談を行ったというニュースに触れた。会談に関しての河野太郎の発言も伝えていたが、河野太郎は「日本側の考え方や基本的な立場を申し上げた」といったことのみを述べ、対して北朝鮮外相がどのような発言で応じたのかについては何も述べていなかった。

 ニュースアナウンサーは「日本側の考え方や基本的な立場」とは拉致・核・ミサイルの問題の包括的な解決、日朝ピョンヤン宣言に基づいた国交正常化推進を指すと解説していた。

 会談についての詳しい事実を知るために8月4日の朝のNHKニュースを聞いた午後、NHKサイトにアクセスして、同ニュースの記事を採取してみた。「NHK NEWS WEB」(2018年2018年8月4日 4時56分)

 記事は河野太郎がASEAN外相会議出席の8月3日夜、北朝鮮のリ・ヨンホ外相と立ち話の形で短時間意見交換したことを伝えてから、〈河野大臣は、このあと記者団に対し、「リ外相には、日本側の考え方や基本的な立場を申し上げ、さまざまなやり取りをした」と述べましたが、詳しいやり取りや、リ外相の発言は明らかにしませんでした。〉と説明している。

 試しに記事に付属の動画から河野太郎の発言を拾ってみた。

 河野太郎「日本側からこちらの考え方、基本的な立場を述べ、それらについて様々な遣り取りを致しました。この件についてはこれ以上申し上げることはございません」

 自分だけの情報を伝え、相手の情報は伝えない一方に偏った情報公開となっている。問題はこのことに正当性があるかである。

 「日本側の考え方や基本的な立場を申し上げた」場合、相手がそれを理解して、「申し上げた」ことに添って問題解決に営為努力しますと反応したのか、あるいは「申し上げた」ことに対抗して「北朝鮮側の考え方や基本的な立場を申し上げ」るのが一般的な反応であることから、そういった反応をしたのか、北朝鮮外相のいずれかの発言を伝えるべきを何も伝えていないのは、都合のいい情報は積極的に発信するだろうから、先ずは都合の悪い情報は隠す情報隠蔽に当たると見なければならない。

 当然のこと、情報隠蔽からは北朝鮮外相の反応が前者でないことは明らかとなる。前者であるなら、自己有能性の誇示という点でも、得々と情報の公開で応じるはずである。

 北朝鮮外相が河野太郎の発言に対抗して「北朝鮮側の考え方や基本的な立場を申し上げた」としたら、その情報を隠蔽することは自身に関わる情報だけを流すことで自分だけの活躍を見せる自己有能性の粉飾となる。

 例えば拉致に関しての北朝鮮側の考え方や基本的な立場は現在のところ、「拉致問題は解決済み」ということであり、核・ミサイルの問題については一方的非核化の拒否・段階的非核化の主張であって、日米の包括的解決とはかなり隔たりがある。

 もしも北朝鮮外相がこういった発言で応じていて、応じるのが自然な成り行きであるが、河野太郎がその情報までを正直に明らかにしたら、相互の言い分を伝え合うだけの会談であったことが明らかになって、河野太郎が北朝鮮外相に発した主張は相殺されるだけではなく、会談の評価自体をも下げて、自己有能性の粉飾は叶わぬ努力となる。

 ところが、北朝鮮外相に関わる情報は何も伝えず、自分だけの情報を伝え、自己有能性の粉飾に成功している。

 と言うことは、河野太郎が「この件についてはこれ以上申し上げることはございません」と言っていること自体が自身にとっの不都合な情報の隠蔽を目的としていた疑いが出てくる。

 河野太郎は8月3日夜の北朝鮮外相との会談の翌日、日本時間の4日午後(シンガポールと東京の時差は+1時間とのこと)、ポンペイオ国務長官と20分間会談したと、8月4日18時16分発信の「NHK NEWS WEB」が伝えている。

 河野太郎はポンペオとの会談の中で北朝鮮外相との会談と拉致・核・ミサイル問題の包括的な解決を求める日本の立場、さらに、〈拉致問題については北朝鮮と直接協議することも含め、あらゆる手段で解決を目指す政府の方針〉を伝えたとを説明、対してポンペイオは日本の立場に理解を示し、両外相は緊密に連携していくことを確認したと会談内容を紹介している。

 河野太郎はここでも北朝鮮外相の反応を伝えなかったはずだ。日本と北朝鮮の基本的立場が180度異なる以上、日本側のそれを受け入れるはずはなく、受け入れなかったことを伝えたとしたら、北朝鮮外相との会談後のように自己有能性の粉飾はできなくなって、日本の立場を伝える単なるメッセンジャーボーイに成り下がることになるからだ。

 河野太郎と北朝鮮外相とのこの短時間会談だが、2018年8月4日付「朝日デジタル」記事は、〈北朝鮮代表団関係者は4日、朝日新聞の取材に対し、李容浩(リヨンホ)外相が前日行った外相会談の相手国として、日本を含めていないとの認識を示し〉、「日本と南朝鮮(韓国)とは接触しただけだ」と接触扱いとしていることを伝えている。

 河野太郎が北朝鮮外相との短時間会談で拉致・核・ミサイルの問題に関わる「日本側の考え方や基本的な立場」を事実伝えていたとしても、そのことのみに偏った情報発信で、いわば北朝鮮側の情報は何も伝えない一種の情報隠蔽で自己有能性の粉飾を謀ったことへの反発からの会談から接触への格下げということも考えられる。

 「北朝鮮側の考え方や基本的な立場」を伝えず無効状態にして日本側のそれだけを伝えて自己有能性の粉飾を謀るなら、会談ではなく、単なる接触に過ぎないのだから、日本側の主張も無効だと知らしめ、河野太郎の自己有能性の粉飾をも粉々にする意図への可能性を窺うことができる。

 この可能性は北朝鮮側の短時間会談から接触への格下げに対する河野太郎の反応が信憑性を与えることになる。「朝日デジタル」(2018年8月4日21時12分)

 8月4日。

 河野太郎「我々も二国間会談の数に含めていない」

 要するに接触と言っても、単なる立ち話程度であったことを認めたことになる。

 であるなら、「日本側からこちらの考え方、基本的な立場を述べ、それらについて様々な遣り取りを致しました」とした当初の発言が示している、日本側と北朝鮮側の相互の反応・遣り取りに必要とする時間的経過を自ら否定しただけではなく、このような否定を通して自身が述べたとしている事実そのものをも、なかったことにしていることになる。
 
 いわば自分が記者団に発言したことは全部ウソですよと告白したも同然となる。ただ単に自己有能性の粉飾を謀ったに過ぎないことを明らかにしたも同然となる。
 河野太郎は自身が述べたことが事実なら、「北朝鮮側が短時間会談を単なる接触に格下げしたとしても、拉致・核・ミサイルの問題に関わる日本側の考え方や基本的な立場を相手に伝えたことに何ら変わりはない」と発言すべきだった。

 勿論、このように発言するためには接触の際の北朝鮮外相の反応・発言をも正直に明らかにしなければならない。

 明らかにすることによって、単なる接触なのか、会談の部類に入る顔合わせなのかをはっきりとさせることができる。

 ところが、河野太郎にはそのようにする機転はなく、北朝鮮側の挑発なのか、短時間会談から接触への格下げにいともたやすく乗っかったか、両者の接触後の河野太郎の対記者団発言が全部ウソか、いずれかになる。

 「それらについて様々な遣り取りを致しました」との発言が事実であるなら、その発言が証明することになる、そこに存在するはずの北朝鮮外相の反応・発言をそもそもからして情報隠蔽扱いとし、河野太郎の発言だけを記者団に明らかにしたのは、自身に都合のよい情報のみの発信という手を使った自己有能性の粉飾以外の何ものでもない。

 安倍晋三もロシア大統領のプーチンが北方四島を返還する気がないのに両者の信頼関係や共同経済活動の進展によって返還の機運が兆しているかのように国民に思わせるているのも、自己有能性の粉飾に他ならない。
  
 河野太郎と北朝鮮外相との接触に格下げされる前の短時間会談後、マスコミの一部は河野太郎が日朝首脳会談の開催を提起したと伝えたが、8月4日夜、これを誤報だと否定した。「共同47NEWS」(2018/8/4 21:59)
 
 記事、〈日本人拉致問題の解決に資するものでない限り、安倍晋三首相と金正恩朝鮮労働党委員長の会談は行わないとの日本政府の立場を改めて強調したとみられる。〉――

 日朝首脳会談開催提起が誤報であろうとなかろうと、拉致問題の包括的な解決を呼びかけなければ顔合わせの意味を失う以上、北朝鮮外相が当面は当然の態度とする「拉致問題は解決済み」の情報を隠蔽したことは、どう贔屓目に見ようと、都合の悪い情報は隠して都合のよい情報のみを明らかにする自己有能性の粉飾だと批判されても仕方はあるまい。

 日本側が求めている拉致問題の包括的解決と対北朝鮮圧力政策は北朝鮮側はセットとして扱っている。前者の解決を望むなら、後者の政策を捨てなければならない。後者の政策を維持するなら、前者の解決には応じないという戦術を取っている。

 こういった戦術用のカードが「拉致問題は解決済み」であるはずだ。このような戦術を破る日本側のカードを見つけない限り、北朝鮮側の「拉致問題は解決済み」のカードは有効性を保つことになり、結果的に不都合な情報は隠して自己有能性の粉飾に走る繰返しを続けることになる。
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