巨大災害時代の記録的大雨に対する一般木造家屋浸水被害防止は建物の完全防水仕様が唯一の方法

2018-08-09 11:55:10 | 政治
 
 
 平成最悪の被害を招いた6月28日から7月8日にかけての記録的大雨による西日本豪雨災害は官房長官の菅義偉が8月6日の記者会見で死者225人、行方不明者11人と発表した。記録的大雨によって洪水や土砂災害、浸水を西日本各地で引き起こした結果の甚大な被害規模となっている。

 災害から1カ月以上経過して、行方不明者が1人少なくなれば、死者数が1人増える関係式を成り立たせることになった。

 大雨が山腹の土砂を樹木と共に崩落させて山裾にまで押し流し、それが川にまで達して流木となった樹木が土砂と共に川を下って橋桁に遮られて巨大な壁を成し、水を堰き止めて水位を川の堤防より高くして、溢れた水を低地に誘導し、そこでも洪水を引き起こす豪雨災害でお馴染みの光景が今回は特に目に余る凄さであちこちで現出することになったようだ。

 気象庁は「これまでに経験したことのないような大雨になっている」と警告、適切な避難行動を求め、「外出が危険な場合には少しでも命が助かる可能性が高い行動として家の中でも2階以上や崖の反対側などのより安全な場所に退避するよう」呼びかけた。

 これまでは出水後の夜中などは外が暗くて危険なために避難よりも家の2階への退避を呼びかけていたが、今回は2階以上とさらに一段高い場所への退避を促すことになった。

 実際にも岡山県倉敷市真備町地区では浸水の深さは最大で約5.4メートルに達したそうで、2階の襖や扉の上に取り付ける鴨居程の高さにまで水は到達したことになるから、2階建ての場合、2階に逃げただけでは無事ということにはならない。

 2階以上となると、一般的な木造住宅では望むべくもない高さということになるだけではなく、どのくらいの洪水になるか前以って分かるわけではないから、今後前例のない規模の豪雨の発生を想定した場合、屋内避難の選択肢は2階建て以上ある建物に限定され、平屋建て、あるいは2階建てに対してはその選択肢はないことになる。

 また河川の本流と支流に挟まれた地区などでは双方の川の堤防が決壊して短時間の急激な洪水を引き起こし、多くの高齢者が2階以上に避難する「垂直避難」すらできず、犠牲になった例もあるということだから、敏捷な行動ができにくくなっている高齢者が2階建て以上ある建物に住んでいたとしても、1階を住まいとしていた場合、屋内避難の選択肢はないことになる。

 このような高齢者の場合、豪雨災害の予測不可能性をクリアするためには最初から2階以上に住まわせなければならないことになるが、3階の木造住宅はザラに存在するわけではないし、3階の住宅を建てる資金に余裕ある人もザラには存在しないはずだ。

 2018年7月13日付の「朝日デジタル」記事は冒頭、〈西日本を中心に大きな被害が出た豪雨災害で、判明している死者のうち、朝日新聞の7月12日時点のまとめで年齢や死亡した状況が明らかになっている141人について調べたところ、60歳以上が100人で7割を超えた。「災害弱者」とされる高齢者が多く犠牲になっている実態が浮き彫りになった。〉と伝え、土砂崩れ遭遇、川の氾濫遭遇、水路転落、状況不明等々、要因を挙げている。

 そして記事末尾で、〈岡山県の12日午後2時時点のまとめでは、年齢確認中という16人を含む58人が亡くなった。このうち、川の氾濫で市街地の約3割が浸水した倉敷市真備(まび)町が50人を占め、ほとんどが溺死(できし)とみられる。真備町で亡くなった人のうち、年齢が判明している37人をみると、33人が60代以上だった。〉と、犠牲が高齢者に集中している被害状況を伝えている。

 この記事からでは高齢者が屋内で何人亡くなったのかは不明だが、「年齢や死亡した状況が明らかになっている141人について調べたところ、60歳以上が100人で7割を超え」ている点、「真備町で亡くなった人のうち、年齢が判明している37人をみると、33人が60代以上だった」という点からして、敏捷な行動ができにくくなっている避難状況、あるいは身体状況を窺うことができる。

 つまり2階建て以上の建物に恵まれていなくて避難にたっぷりとした時間をかける余裕がない高齢者の多くは逃げ場がないことになる。

 となると、土石流に直撃されて建物が崩壊し、土石流と共に崩壊した建物の中に閉じ込められて身動きできなくなって命を落とす例を除いて、2階建て以下の建物に住んでいても、屋内避難をせずに住まい自体を逃げ場とするためには建物そのものを浸水から守る完全防水仕様が唯一の方法となる。

 つまり完全防水仕様となっていないから、建物自体は無事だが、浸水して被害者が出たり、家財道具や家電製品が泥だらけになって使えなくなったりした例が多く見られた。

 完全に水が引いてから、1階を、中には2階まで、畳や床板を剥がして床下に溜まった土を取り除いて清掃に務めなければならなかった。

 玄関のドア部分やアルミサッシ窓部分から水が侵入する。先ず玄関のドアだが、ドア枠にパッキン等を張り巡らしてあって完全に気密性が保たれているなら問題はない。

 だが、西日本豪雨後の台風12号が東海地方に上陸後西側に進むという特異な方向を取って近畿、中国地方に大雨をもたらすと予想されたとき、豪雨災害受けた家々が玄関前に土嚢を積んで玄関ドアからの浸水を防ぐ手立てをしていたことは気密性が保たれている玄関ドアだけとは限らないことを証明している。

 ドアを受け止めるドア枠の外側四方にゴムスポンジ防水パッキング等を張り巡らして、画像として掲げたような密閉用ハンドルを取り付ける位置のみを平にして取り付けると、ドアを手前に引いて締めることになって、完全に気密性を保つことができ、浸水を防ぐことができる。

 アルミサッシ窓の場合は窓枠にはめるとき、上に持ち上げて鴨居に収めてから、敷居のレールに収める方法を取ることになっているから、外が湖みたいに水で満たされて、その水が掃出し窓よりも上に達した場合、その水圧でガラス窓自体に浮力が働いて持ち上げられ、ガラス窓の下端とレールとの間に1ミリか2ミリ程度の隙間が出て、その程度の隙間であっても、外の水圧を受けた水がそこから部屋の中に向かって流れ込み、部屋を水で徐々に満たしていくことになる。
 
 雨が降り続いて外の水位が上がれは、水圧も増すことになって、部屋に流れ込む水の勢いも量も格段に増していくことになる。ましてや真備町地区の約5.4メートルの水位となると、1階は勿論、2階の全ての窓から水が入り込むことになる。稚拙な絵で済まないが、雨戸と窓サッシの間に締め切った雨戸分と同じ幅の、外側表面四方にゴムスポンジ防水パッキング等を貼り付けた木枠か金属枠を取り付けて、さらに雨戸同士の片方に同じようにゴムスポンジ防水パッキング等を縦に貼って、雨戸と木枠か金属枠(AとB)を、さらに雨戸同士を画像にあるようなセーフティーロック付きの締め金具を要所要所に取り付けてそれぞれをロックすれば、水が侵入できないだけの気密性を保つことができる。

 画像は「スガツネ工業」からの借り物で、正式名は「ステンレス鋼製超強力プロラッチ」、1個4~5千円で、同じものでなくても、似た原理(トランクの締め金具も同じ原理)の製品なら、使うことができる。

 この締め金具を締めるのは気象庁が台風や大雨警戒情報を流し、その情報の地域に済んでいる場合に限られるから、年中締めなければならないというわけではないことは断るまでもない。

 取り付けは雨戸に取り付けるパッキンの枚数分、雨戸を狭めて、サッシ窓の外側に木枠か金属枠をはめ込んで固定するだけだから、それ程の金額はかからないはずだ。

 問題は建物内が気密になって外界四方が湖のように水が満たされた場合、建物自体に浮力が働いて浮き上がる恐れが出てくる。浮力が働いても建物が浮き上がらないだけの頑丈なコンクリート土台を備えていることが必要条件となることと、山崩れが起きやすいような谷間のある山裾近くの住宅は起きた場合の土石流には無力と見なければならないこと、コンクリート土台に風穴と呼ばれる換気口を設けてある場合は、大雨のときは閉じて浸水を防ぐことができるようにしておかなければならない。

 建物自体は無事だが、浸水によって人が、特に敏捷な動きができにくくなっている高齢者が亡くなったり、家財道具や家電製品に損害を受ける場合はこの建物の完全防水仕様はどうだろうか。

 技術的には不可能ではないはずだし、もっと素晴らしい気密性の方法があるかも知れない。全てを不可抗力とするのではないアイディアをそろそろ考え出さなければならないように思えるが。

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