北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

米上院法案可決、航空自衛隊F-22導入について最後の機会か

2009-07-28 23:23:51 | 防衛・安全保障

◆F-22はF-Xとなり得るか

 F-22の三転四転、F-22生産終了が報じられた中、また動くのでは、と北大路機関で扱わなかったらば、本当に動いたので、本日は、この動きを紹介したい。

Img_9803  時事通信によれば、アメリカ議会上院は、国防長官に対して、日本に対するF-22の輸出の可能性を調査し議会報告を求める修正条項を盛り込んだ2010会計年度国防権限法案を28日までに可決したとのこと。同様の決議は下院でもなされている。アメリカ議会では、F-22の米空軍に対する追加調達は認めなかったものの、輸出型の生産については、可能性を残した形となった。

Img_9067  F-22の輸出可能性については、アメリカ議会上院は、予算成立後180日以内に“輸出仕様の機体の価格”、“技術的可能性”、“輸出仕様機を開発する上での必要な期間”、“輸出を行う上でアメリカ国内法の改正について必要の可否”を国防長官に報告するよう求めている。ジョージア州のF-22生産工場を地元とする共和党議員からは、国防総省だけではなく、外部にも調査を委託するよう求める修正法案を提出し、これも可決されている。

Img_0627  第一に重要なのは、アメリカ空軍向けのF-22生産は終了するものの、日本向けのラインとして、F-22の生産が維持される可能性を残すことで、完全にラインを閉鎖することなく、将来的にアメリカ空軍がF-22の増勢を必要とした際には、最後の選択肢を残すことが出来るよう施策が設定されている点である。即ち、これまで、国防総省と空軍では、輸出に対する否定的な意見と肯定的な意見に分かれていたものの、今後、米空軍におけるF-22増勢の可能性を残すならば、何らかの形でラインを維持する必要が出てくる訳だ。F-22対日輸出に反対する意見は米国国内にも多くある一方で、F-22の調達継続を求める動きも同様にあることを考えれば、F-22の新しい動きには注目する必要がある。

Img_9851  第二に、日本でのライセンス生産の可能性は、F-22に関しては完全に無くなったことを意味する。これは、F-2支援戦闘機生産終了とともに、三菱重工での戦闘機製造ラインは維持することが非常に難しくなり、F-15J後継機の導入に際して、繋ぎとなる機体、例えば先端技術実証機を試しに量産するというような防衛力とは無関係な投資を行わなければ、航空機関係の部品を供給している企業を含め、国内から技術が失われることを意味する。

Img_0499  個人的には、F-22は、航空自衛隊が運用したとしても得られるものは多いとは思うが、F-4の後継機や、F-15Jと同列に扱うことはできない機体のようにも思える。機密保護の観点などから、航空総隊司令部が移転予定の横田基地などに総隊司令部飛行隊として配置して運用した方が現実的なのでは、と考える一方で、F-22の輸出型が日本に輸出開始されるまでの間、繋ぎとしてF-2A支援戦闘機の生産継続の模索なども行われていしかるべきなのでは、と思う次第。

コメント (12)
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