◆おおすみ小松島寄港
本日は、輸送艦おおすみ、を見学することが出来たので、その様子を簡単に掲載したい。蛇足ながら、おおすみ型輸送艦の艦内を見学するのは、当方、今回が初めてである。
小松島みなと祭りへ参加ということで小松島港に入港していた輸送艦おおすみ。満載排水量14000㌧という大きさもあり、小松島港岸壁では、面積や水深で不安もあるということから、赤石岸壁(最寄駅から4km、タクシーのいる南小松島駅から9km)に寄港していた。さすがに徒歩は、ということで、いつもお世話になっているY様の車に乗せてもらうこととなった(ありがとうございます)。
おおすみ型として3隻が建造され、海上自衛隊の戦略投射能力を考える上で不可欠な艦となっている本型は、国際緊急人道支援、国際平和維持活動とその任務も幅も広くなっており、従来の、みうら型、あつみ型では考えられないほどの広域を任務範囲としているが、みうら型、あつみ型の6隻を、3隻の、おおすみ型で対応するという現状は、ローテーション的に大丈夫なのか、と思う事もあるが、実際に乗ってみると、士気は高い。
車両甲板。ここに90式戦車を含め陸上自衛隊の主要装備を搭載、また装甲車や火砲、車両などは、エレベータで上甲板に移動させ、輸送することも可能だ。エレベータではなく、スロープの方がスムーズに移動できるのでは、という声も建造当時軍事専門誌などで寄せられたが、スロープを配置すると、その分面積が圧縮されてしまうので、エレベータに頼るというのも、一つの方法、とも思う。なお、インド洋大津波国際緊急人道支援の派遣からローターを外せばUH-60JAを車両甲板に搭載可能ということなので、折りたためるSH-60Jなどは搭載できるのかな、と思ったりもした。
エアクッション揚陸艇LCAC。96浬の沖合から、迅速に陸上部隊を上陸させるための装備として米海軍が開発したもので、日本では特に災害派遣での活躍が期待されている。これまでの輸送艦のように直接接岸せずとも、沖からの対応が可能、という点は、それだけ1隻で長い海岸線を担当できることを示すからである。また、航空機運用能力もあるため、必要に応じて、陸海空自衛隊のヘリコプターの中継地としても期待されることになる。
小松島航空基地で聞いた話では、徳島市や小松島市は、南海地震による津波災害の想定範囲に入っており、市内にはハザードマップや想定水位などの表示も見られた。静岡県ほどではないが、実際に昭和南海地震で津波被害を受けただけに、対応は真剣だ。津波、というと凄いものを想像するが、小松島航空基地に戦時中の建物や松並木が残っているのを見れば、パニック映画のような大袈裟な状況には至らないということは理解できる。そうした視点を踏まえて、冷静に被害の局限化に取り組んでいるというのが印象的であった。
善通寺駐屯地から第15普通科連隊の車両が展示に展開していた。新しく普通科連隊の駐屯地が建設され、これは南海地震を睨んでいるという。また、飛行隊も新設へ編成準備も進んでいる。その背景には、善通寺の第14旅団が、南海地震における初動の先頭に立つという気概も感じられる。直接武力侵攻という従来型脅威と並び、火山、地震、台風という脅威は、日本史に幾度も刻印を残す大きな脅威であり、特に地震は、いつ来るのか、という点も脅威であることを忘れてならないということを感じた次第。
HARUNA
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