◆新世代拳銃ベレッタPx-4
先月、東京マルイよりベレッタPx-4がガスブローバックガンとして発売されました。待望の新拳銃でしたので予約し発売当日、早速入手しました。ポリマーフレーム拳銃なのですが、この構造は今後普及するのでしょうか。
ベレッタPx-4は世界最古の拳銃メーカー、イタリアのベレッタ社がポリマーフレームを採用した新世代拳銃として2005年に開発した新拳銃です。1985年に米軍制式拳銃として同社製ベレッタ92Fが採用されて以来、世界中の軍隊や法執行機関へ採用され続け、わが国でも厚生労働省麻薬取締官が執行銃として採用しているのですが、この成功はベレッタ社の拳銃技術開発を滞らせる事にも繋がりました。この為、新世代のポリマーフレーム拳銃として再度ベレッタ社が次世代の看板を目指し開発されたのがこのPx-4。
Px-4は全長192mm、重量785g、銃身長102mmで9×19mm弾17発の装弾数を有するほか、40SW弾や45ACP弾仕様も開発されていて、92Fと比較した場合ポリマーフレームの採用により強度向上と軽量化を実現しているほか、グリップ部分を交換し射手の掌に合わせた調整が可能であり、加えて銃身下部には20mmレイルが採用されているためフラッシュライトやレーザーサイト等の装着が可能になっています。米軍統合特殊作戦軍用拳銃に提示されるなど、92Fの後継拳銃を目指し、一部空軍部隊では既に運用されているとのこと。
SIG-P-226,スイスのSIG社製で15発の装弾数を有しベレッタよりも高い精度で生産されていることから高コストではありますが信頼性も向上しており、法執行機関や軍隊、特に特殊部隊での採用が伝えられる拳銃です。日本では海上保安庁の特殊部隊SSTが運用している事で有名。これら鋼製拳銃を比較してポリマーフレーム拳銃は厳寒地等での強度面で不安が指摘されている事も事実ですが、今後はどのように進展するのでしょうか。個人的には軟な印象があるのですから、この点が気になる訳です。
SIG-P-229,本銃は40SW弾という従来の9mm弾と45ACP弾の中間を担う新拳銃弾として期待された弾薬用に開発されながらも肝心の40SW弾が普及せず、今に至ります。また思い起こせば、小銃で弾倉を後部に取り付け銃身長を維持しつつ全体の短縮に成功し機械化歩兵部隊や近接戦闘に優位とされたブルパップ式小銃ですが、FA-MASやL-85(LA-80)、AUGにより注目されたものの、昨今ではタボールやF-2000等一部が使われるのみで再度、M-4やSCAR,G-35等の従来型小銃に圧されつつあり、革新的に見える新技術も普及しない事はかなりある、ポリマーフレーム拳銃もどうなるのか、という気がしないでもありません。
SIG-P-230,中型拳銃として法執行機関を中心に配備され、日本でも大阪府警等で採用されているのですが、スイス軍などでは高級将校の自衛用拳銃として採用されている型式です。傑作拳銃と評され、中型拳銃では一時期、ベレッタM84かP-230か、と言われたこの拳銃は鋼製。ポリマーフレームといえばグロック社製G-17等がその普及面では先鞭をつけた一方、中型拳銃ではG-26等が開発されていながらもG-17程普及はしていないのですよね、やはり小型化すると射撃反動に対する剛性面等で不安があるのでしょうか。
H&K USP-compact.ポリマーフレームを採用する中型オートです。海外ドラマ“24”で使用されていたのですが、それ以前にUSPは大型拳銃というイメージが定着していたので初めてこのUSP Compactを見た際に造り込まれた精緻な構造に驚かされ、一時期品薄だったのですが今では供給体制は確立しているようです。H&Kは過去にP-9等ポリマーフレーム拳銃の開発を行っており、現在、グロックとともに軍隊や法執行機関への採用が増大しているポリマーフレーム拳銃の金字塔というべき装備。
USP Compactは9mm弾であれば13発を装填可能で、357SIG弾や45ACP弾も射撃可能です。このUSPとPx-4を比べてみますと、Px-4は曲線部分が多く、全体的に丸い形状に収まっているのですね。これがポリマーフレームか鋼製かという以前にその形状から華奢なのではないか、という印象を与えるのかもしれません。すると、ポリマーフレーム拳銃が普及するのか、という議論は実は的外れで、柔かな形状の軍用拳銃となるのか、角ばった形状の軍用拳銃となるのか、と考えるべきなのかもしれませんね。
ベレッタM-1934、この拳銃を見ますとPx-4の丸い形状はベレッタ社の優美なデザインを継承しただけなのかな、とも。蛇足ながら007ドクターノオの原作で威力不足の25口径拳銃、これよりは南部十四年式やトカレフTT-1933が妥当だが弾薬が入手しにくいのでワルサーPPKが一番、ベレッタは駄目、といわれていました。しかし、原作で威力不足といわれたベレッタですが、映画では明らかにM-1934が出ていたのですけれどもこのM-1934は9×17の38口径なのですよね。PPKは32ACP仕様を提示されていたのですが、M-1934は25口径では無い、威力も侮れません。引っ掛かりやすそうなのは否定しませんが。・・・、ベレッタM-1919と勘違いされているのかも、映画に出ているのはM-1919よりもM-1934に見えるのですが、うむ、・・・、見間違いだったらスマンです。
ベレッタPx-4,ポリマーフレームが普及するのかというよりも、こういう丸い拳銃が普及するのかということに結論づいたのですが、・・・、エアガンなんだから92FでもM-1911でもポリマーフレームなのでは?、というのは内緒です。M-1934は昨年某基地近くのホビーショップで新品を入手出来ましたが、闇社会で生きる少女を描いたアニメーション“NOIR”で主人公の夕叢霧香が使用していたので、007に関係なく探していました。まあ、Px-4も評判や性能は別としてダイハード4.0でマクレーン刑事が最後に、いやホントは奈須きのこ原案の上海を舞台にしたアニメーション“CANAAN”でカナンが使っていたから気になっていたのですけれども、ね。
HARUNA
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