◆訓練は1月24日から27日まで
チュニジアでの民主化暴動が政変に発展し、邦人が孤立しているという状況がありますが、海上自衛隊によれば1月24日から27日にかけて平成22年度輸送特別訓練を実施するとのことです。
日米が参加する輸送特別訓練は今回が第六回となっていまして昨年もこの時期に行われました。訓練目的は海上輸送に関する戦術技量の向上と日米輸送部隊間における連携要領の演練が目的とされていて、訓練に参加するのは日米の両用戦艦合わせて2隻となっています。
海上自衛隊からは、おおすみ型輸送艦しもきた、艦長は大久保幸彦二等海佐、米海軍からはホイットビーアイランド級ドック型揚陸艦トーテュガ、艦長はジェームズPローウェル海軍中佐。訓練海域は九州佐伯から伊予灘を経て四国宿毛に至る海域が指定されています。
他方で、現在北アフリカのチュニジアで民主化暴動によりベンアリ政権が海外へ退去するという非常な混乱状態が生じています。邦人観光客も200名近くが空港の閉鎖によりホテルでの足止めを受けているという状況にあり、政府は民間機によるチャーター機の運行を模索しているようです。
既に民主化要求の暴動での死者は100名を超えている状況で、社会インフラも麻痺状態に入り始めているとのことです。イタリアやマルタの対岸にあるチュニジアですが、現在は民主化暴動が隣国に飛び火を始めているという状況ですので、最悪の場合はより広範な地域の邦人救出を想定しなければならない状況となるやもしれません。KC-767の派遣を検討した方が良いのではないでしょうか。
防衛省では政府専用機B-747の派遣を検討しているとの報道がありますが、周辺国へ民主化暴動が拡大する可能性に鑑みれば、滑走路の大きな拠点空港以外運用が難しいB-747よりも、小回りのきく、そしてある程度数のあるKC-767やC-130Hの派遣を、例えばジブチの海賊対処任務部隊への支援名目というかたちでも派遣するべきなのでは、と考えます。
特にジブチ共和国へソマリア海賊対処任務航空部隊が派遣されているのですし、マルタへは練習艦隊の入港実績も多い訳ですので、周辺国への民主化暴動等動乱の拡大というような場合によっては輸送特別訓練での訓練成果を活かしNATOとの協同を想定する必要も出ているように考えます次第、政府には状況の急変に慌てる事の無いように情報収集と準備を望みたいですね。
HARUNA
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