北大路機関

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協同転地演習、第12旅団中心に現在実施中、北方では第7師団が既に今夏実施

2011-10-12 23:36:51 | 防衛・安全保障

◆規模縮小下でも展開能力強化へ演習実施

 陸上自衛隊の緊急展開能力を高める協同転地演習が現在第十二旅団により実施されているとのことです。

Img_3061 今年度は第七師団が北方から本州へ、本土からは第十二旅団が北海道へ展開するとの演習計画が立てられていたようですが、東日本大震災に伴い全自衛隊の演習計画がそのままこれまでの練成を試す機会となりました。結果、中止されるのか、と思いましたが規模縮小とはなりましたが、演習は行われることとなった模様。

Img_603910/6日付 ニュース トップ :30普連基幹で協同転地演習 ・・・ 陸自東部方面隊による23年度協同転地演習(連隊等転地)が10月3日から王城寺原演習場などで始まった。同10日まで。  渡部悦和東方総監を担任官に、30普連(新発田)基幹の人員約1500人、車両等約300両が参加。

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往路は10月3日から8日まで東部方面区から王城寺原演習場等まで車両による陸路機動と航空機による長距離機動を行い、演習場に集結後は11日までヘリボン堡設定や防御の訓練、9日から15日までは特科の実弾射撃訓練を実施。復路は11日から16日まで、陸空路の長距離機動で帰隊する
。 ttp://www.asagumo-news.com/news/201110/111006/11100612.html

Img_6045 協同転地演習が現在実施されているようです。本年は三月の東日本大震災の発災により、文字通り全自衛隊が東日本の被災地へ展開するという、これまでの協同転地演習において確認練成されてきた展開に関する運用が試される初めての実践、いや実戦の場となりました。例年は初夏から初秋にかけて実施されるのですが、演習実施の時期が遅れたのは、これは理ゆうを述べるまでもないでしょう。

Img_0878 しかし、連隊規模の移動、そうはいいつつも旅団普通科連隊ですから定員は550名程度、砂即ち1500名の機動ということはそれだけ支援部隊の多数が参加しているということになるのですけれども、王城寺原演習場は東北方面隊第六師団管区、東部方面隊第十二旅団管区とは方面隊こそ違いますが隣同士の管区にあたります。

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例年は部隊の大半が本州から北海道へ展開しますから比較した場合に規模は相当縮小されているということがわかります。加えて第12旅団は東日本大震災に際して旅団を挙げて福島県の災害派遣を命じられ、対応しました。この部隊を演習に投入する、ということは常に有事に備える、という陸上自衛隊の固い決意の表れ、といえるかもしれません。

8Img_2754/11日付 ニュース トップ :7師団が転地演習
・・・ 陸自北部方面隊は8月29日から9月9日まで、協同転地演習(師団等転地)を行う。  千葉徳次郎北方総監を担任官に、7師団(東千歳)基幹の人員約3000人、車両等約1000両(うち火砲20門と、71、72戦連の戦車約100両)が矢臼別演習場まで陸路で機動訓練を行い、演習場に集結後は攻撃訓練など師団規模の演習を実施。
その後、復路の機動を行い、9月9日までに原隊に戻る予定。 ttp://www.asagumo-news.com/news/201108/110811/11081110.html

Img_3613今年夏に第七師団が記事のとおり協同転地演習を行っています。例年協同転地演習は、北海道の部隊が本州へ、そして本土の部隊がほか移動へ展開するという演習構成となっていて、かつて冷戦時代に本土から部隊を北海道へ急速展開させる北方機動演習をさらに強化したのが協同転地演習です。しかし、今年はやはり北海道内で実施というほどに縮小されていました。

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 この規模でしたら、回数を分けて、という意味でしたら平時にも十分行われている演習、という印象でもあるのですが、演習計画を卆無く熟す事により、東日本大震災という未曽有の地震災害に際しても自衛隊の備えの盤石さを周辺諸国に示す、という狙いは、やはりあるのでしょう。

Img_3695 震災発災から史上空前の規模、すでに延べ人数では1000万名の派遣を超えている派遣に際して、周辺国からの偵察などは継続されていたことから、今侵攻されたら、という危惧は第一線ではあったと聞きます。無論、軍隊が海を渡る難易度と準備に要する期間を考えれば難しいものはあるのですが、理屈では納得させられない責務、ということがある、そういうことでしょうか。

Img_4311 同時に考えなければならないのは、今後考えられる日本国家への脅威、これは南西諸島への限定進行や潜在的脅威として北方への遠い将来での直接武力侵攻の危険、更には東海東南海南海地震による津波災害等が考えられますので、ヘリコプターによる空中機動力、装甲機動部隊の強化による機動打撃力強化という意味での動的防衛力整備が真剣に検討されなければなりません。この点、あらゆる機会を利用してその課題模索に用いられるべきと考える次第です。

北大路機関:はるな

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コメント (6)
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