◆歴史となった空母艦載機、実戦力としての日本
今月は空母サラトガへF-4ファントムが配備されて半世紀という記念すべき月でした。先日もトルコ空軍が実戦に投入したファントムですが、半世紀なんです。
書架、何故か30~40年前の航空雑誌や半世紀以上前の世界の艦船創刊号や何やらが詰まっていて、冷戦華やかなりし頃の90年代宇宙開発計画や、今では絶対不可能であろう技術と物量の無駄遣い等、今では考えられない時代だなあ、と思いつつ、これらが本気を出せば悪夢だなあ、とも。
おお、ありました、航空情報1972年6月号臨時増刊”ファントム”。1961年2月にF-4Aが訓練飛行隊に配属されたのち、10月に量産型がサラトガに配備、ここから強力な艦載機としてのファントムの歴史は始まったわけですが、これから50年、いやあ、私には実感できない期間ですね。
米海軍への配備は、航空自衛隊へ配備が開始されるまでにジョンFケネディ、エンタープライズ、アメリカ、コンステレーション、キティーホーク、インディペンデンス、レンジャー、フォレスタル、コーラルシー、フランクリンDルーズベルト、ミッドウェー、オリスカニー、ハンコック、こう次々と進みました。もっとも、米海軍のファントム運用は既に歴史上の話ですが。
ちなみにそのころ、我が国の航空自衛隊は、といえば航空自衛隊向けのF-104Jがアメリカのロッキード社において初飛行を果たしたのが6月30日、航空自衛隊向けのF-4EJが初飛行するのはもう少し先となるのですが、そう、F-4BとF-104JはB型とJ型という違いはあっても同世代になってしまうわけ。
F-4EJへの道筋はもう少し続きまして、まずF-100の後継機として米空軍がF-4Cに注目したあたりから始まります。実際に1963年11月に海軍から借用、相応の能力がありつつも期待している新型機F-111の開発が進んでいるので繋ぎくらいにしかならないのかな、と軽い気持ちだったようですが、F-111の七転八倒はご承知の通り。1966年にF-4Dが開発され1967年にはF-4Eが空軍へ納入となった形。
世界中でファントム祭というべき導入は続いて、イギリスは海軍がシーヴィクセンや空軍のハンター後継にF-4が、空軍はP-1154VTOL戦闘機を量産予定が切り換えてF-4を採用、イスラエルもミラージュⅢの補完に、西ドイツ空軍はF-104Gの後継機に、イラン空軍はF-86Fの後継で、スペイン空軍はF-86FとF-104Gの代替に、オーストラリアはキャンベラ爆撃機の置き換えで、韓国も中古で導入。1972年の時点のお話。
航空自衛隊は1968年11月1日にF-4の導入を決定し、F-4EJはアメリカのセントルイスで初飛行を達成したのが1971年1月14日、マクダネルダグラス社にて引き渡されたのが7月16日、こちらは米海軍配備から十年後、つまり今から40年前となります。後継機選定後継機選定と悠長に選定していますけれども、これ、初飛行から40年なのですね、繰り返しになりますけれども。
さてさて、次期戦闘機はまもなく選定、というのですがF-4は初飛行1958年、艦隊配備が50年前。来年度予算で四機が要求となっているのだけれども、配備されるのは数年後、一括調達として一年間にそれこそ十機程度を数年連続して取得しなければ、十年後にWeblog北大路機関、多分残っていると思うのだけれどもF-4EJ初飛行半世紀、という記事を作成するやもしれませんね。
北大路機関:はるな
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