◆F-15増槽破裂、求められる原因究明
本年は小松基地開庁50周年という節目の年でしたので残念ではありますが、航空祭は中止です。開庁行事は関係者のみで後日実施されるようですね。
2011年10月8日 航空祭は中止となりました。 ・・・ 小松基地は、当基地所属F-15型機の機外燃料タンク落下事案の発生に伴い、再発防止に万全を期すため、今月29日(土)に予定していました小松基地開庁50周年記念行事を延期し、また今月30日(日)に予定していました航空祭を中止することといたしました。 機外タンクの落下により、住民の皆様に多大なご迷惑とご不安をあたえましたことを、深くお詫び申し上げます。 また、本事案の発生を真摯に受け止め、原因の究明と事故防止対策に万全を期し航空事故の絶無を期す所存です。 今後とも基地へのご理解をよろしくお願いします。http://www.mod.go.jp/asdf/komatsu/
小松基地航空祭が中止されることが小松基地応報により公式に発表されました。先週金曜日に小松基地のF-15から落下式の増槽が脱落したとの一報が入り、続いて脱落ではなく破裂したものであるとの報道が入ってきまして、この状況は報道ヘリコプターによる空撮映像においても、増槽の一部分が残っており、訓練用に搭載していた訓練弾も同時に破損している様子が報じられたわけです。増槽は着脱式ですが、燃料が入った状態で落下した場合、高度にもよりますがさらに危険な状況が考えられるものの、そうした状況には至りませんでした。この状況については朝日新聞の報道が詳しいので引用してみましょう。
F15落下部品、196点を回収 残り9点も捜索・・・ 航空自衛隊小松基地(石川県小松市)のF15戦闘機から燃料タンクなどが落下した事故で、同基地は8日までに、落ちた部品は計205点にのぼり、うち196点を回収したと発表した。残る部品を探すため、600人態勢で同県能美市山口町の下水処理施設周辺などを捜索している。 また同基地は、事故機が1998年10月に製造され、今年1月に同基地に配備されたことや、パイロットが43歳の3等空佐だったことを明らかにした。http://www.asahi.com/national/update/1008/OSK201110080032.html
米軍基地などを見ますと増槽は山積みになっていまして、消耗品であることが一目瞭然です。しかし航空自衛隊では消耗品としては用いられていないようで、一方で訓練空域が基地近傍において確保できずという日本の国情もありますため、航続距離を延伸させ十分な訓練時間を確保するために増槽を装着する、という実情もあるのですが、通常戦闘機同士による格闘、つまり近接戦闘を行う場合この増槽は空気抵抗となりますから投棄します。小松は訓練空域が比較的近いため、実情とは異なる可能性も高いことは認めるのですが、増槽はFRP製、空戦機動にさらされることで劣化した、という可能性はあるかもしれません。
可能性だけを示してもきりがないのですが、少なくとも増槽への負担などを考えて訓練の制約が高まるということは避けなければなりませんし、緊急発進へ備えた対領空侵犯措置任務は継続されていますが、航空祭はもちろん通常の訓練飛行も制約されています。東日本大震災災害派遣へは航空自衛隊からも多数の隊員を災害派遣に出動させていますので、訓練計画は戦闘機部隊であっても大きな影響があったわけです。この点、原因究明とともに現在の訓練水準を維持できるよう、十分な施策と予算的措置が求められると考える次第。
北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)